第17回「海の日」を迎えて


                                                      会長 内田 成孝 

 今年も「第17回 海の日」前夜祭が「海洋会」「若葉会」「全船協」各横浜支部を事務局として準備が進められ「ナビオス横浜」で盛大に行われた。各地で繰り広げられる「海の日」記念行事の幕開けであり、各地での催し物が成功することを願った。
 昨年は、3.11の東日本大震災の影響で祭りごとは自粛され、「海の日」を中心に執り行われる予定の「海フェスタおのみち」も順延となり、改めて今年は「海フェスタおのみち」海の祭典2012 尾道・福山・三原として盛大に開催されている。毎年開催されているこの「海フェスタ」の目的は「海の恩恵に感謝し、海洋国日本の反映を願う日」という「海の日」本来の意義を再認識し、三連休をより有効に活用し、海に親しむ環境づくりを進め、広く国民の海に対する関心を喚起することを目的に開催するとしている。
 今年は瀬戸内地区での開催ということで、広島商船高専「広島丸」の一般公開、弓削商船高専「弓削丸」での体験航海と商船高専も参加し、また練習帆船海王丸も参加してセイリングドリルを実施するため、子供たちや親御さんに海や船について大いにPRが出来ることであろう、海の祭典の成果が確実に実ることを大いに期待したい。
来年度2013年の「海フェスタ」開催は、男鹿市・秋田市を中心とした5市町村と決まっている。
 こうした行事は、1986年から「海の記念日」を中心に「海の祭典」として行われていたが2003年ハッピーマンデーとして7月の第3月曜日が「海の日」となって「海フェスタ」と名称変更となっている。
 また、2007年7月20日に制定された海洋基本法第13条は「国民の祝日である「海の日」において、国民の間に広く海洋についての理解と関心を深めるような行事が実施されるように努めなければならない」と海の日の行事について定めている。
 ところが、こうした「海の日」に水を差すような動きがあったのである。
 実は2010年、横浜での「第15回海の記念日前夜祭」で全船協新会長として挨拶せよとの仰せがあり、挨拶で、「最近、休暇分散化政策が論議され、「海の日」について現状のハッピーマンデーとしての休日から国民の祝日としての「海の日」を7月20日に固定し、シンボリックな日として未来永劫国民の心に深く刻んでほしい、とした提案もあるようです。「海の記念日」を「海の日」の祭日にするために総動員したあの情熱と努力を思い出すのも、この前夜祭の意義でしょう。」と最新情報を披露した。当然7月20日を祝日とした本来の意義を尊重したものと受け止めていたがそうではなかった。「海の日」の行方が気になるのでその後この動きを注視して来た。
  国土交通省観光庁が進める、観光立国推進とした休暇分散化ワーキングチームは、労働者の有給休暇の取得率が悪く、旅行にかける時間が少ないためお金が観光地に落ちない、5月の連休は混んで効率が悪い、したがって、春の大型連休を分散して、北海道・東北地方の休日、関東の休日、中部・北陸の休日、近畿の休日、九州中国四国の休日と「成人の日」「みどりの日」「こどもの日」を地域ブロックに分散する。秋の大型連休を創設し「海の日」「敬老の日」「体育の日」を従来の日に記念日として戻し、休日については観光に適した秋の時期に地域ブロック別に分散し、観光促進を促し、国内旅行で消費を増やし、経済活動を刺激するとしたものである。

2009年12月〜2010年10月 検討・対応状況
・政府関係者への働きかけ
なぜか海事振興連盟から反対意見が上がっていない?
・国民的合意形成に向けた動き
産業界等へのヒアリング、中小企業ヒアリング(なぜか海運業界へのヒアリングは行われていない。明らかに反対意見が予測されるためか?)
・地方ブロック説明会
東北、近畿、中部、九州、四国、中国、北陸地区
2011年3月11日 東日本大震災発生
2011年7月 震災発生により観光庁は祝日休暇分散は当分の間「休眠」と発表
2011年秋からの実施を目指していた「休暇分散(祝日休暇分散)」について、震災の影響による社会情勢・流通の現状を鑑み、正常化されるまで当分の間「休眠」になると発表した。

2012年4月
民主党の休暇のあり方検討会プロジェクトチームが発足し初会合。
「休眠中」のプロジェクトとは別のプロジェクト、白紙からの議論。
2012年5月
シルバーウイーク(秋の大型連休)の導入、春の大型連休「ゴールデンウイーク」に対して秋は「シルバーウイーク」と命名。
 発想は「休眠中」の秋の大型連休と同じで「海の日」「敬老の日」「体育の日」を休日でない記念日として残し、休日は秋の5連休としてまとめ、地域別2分割とする構想。旅行者が増え観光地での経済効果や雇用創出を見込み2014年からの実施を目指すとした。

 今回、横浜での「第17回海の日前夜祭」では、乾杯の音頭をとることとなったが、一言挨拶を申し上げた。
 「この「海の日」を振り返るとき「海の記念日」を国民の祝日にしようという運動が海に関係する人たちの熱波となって署名活動が繰り広げられたのがつい最近のように思い出されます。1995年阪神淡路大震災により空路、陸路による物流が麻痺した中で、海路による輸送が大きな力を発揮し、海運の重要性が見直されるようになったのをきっかけに、ついに関係者の念願がかない「海の記念日」が祝日に加わったことは皆さんの頭には鮮明に残っていることと思います。
 今回の東日本大震災に際しては、大津波という大災害の中、阪神淡路大震災の比ではない広範囲にわたる被災地に対し、船舶が海からの支援活動を懸命に行い復興に大活躍したことは、広く国民にアピールされました。
しかし、復興もままならないこの時期に「休暇分散化」が真剣に検討されていたことは驚きであった。「海の日」を格下げして、「海の記念日」を7月20日に平日扱いとして固定化し、休日を秋に移して連休を作り、日本を地域別に分割して地域別休暇制度を制定する案を本気で、この国会に提出するまで検討されていたのです。「祝日の意義」をないがしろにするもので絶対容認できるものではありません。幸い全国的な企業活動への影響など課題も多く、実現の目途は立っていないのが現状です。時期を見て再度俎上にのせる案件です。今後の動きをしっかりとワッチしておいてください。
 同じ国土交通省に有りながら、海洋立国推進と観光立国推進という綱引きでしょうか迷惑な話です。
 「海の日」7月20日に制定された、「海洋基本法」も5年目の見直し年となっています。海の日を利用し「大いに国民に海を、海洋をPRせよ」とうたっています。
 我々も、もっと外に向かって気勢をあげましょう。それでは元気よく乾杯!…」

 その後、この話が、海運業界に浸透し、反対ののろしが上がってきたことは当然である。
 海事振興連盟、日本船主協会、内航総連、海運関係の報道新聞社からの力強い反対意見はもっと一般国民へもアピールされるべきであろう。
 観光立国推進のためには、東日本大震災の復興を急ぎ、原発事故の放射能汚染の除染を急ぎ、外国観光客が安心しておとづれることの出来る国づくりではあるまいか、瓦礫処理もままならない状況、仕事にもつけず、仮住まいの生活を余儀なくしされている被災者に対しても、休暇分散の話は大変失礼な議論ではあるまいか。
 東北の山菜、海の幸、果物等、安心して食することが出来る日が来れば人々は安心して旅に出かけると思うのだが…。しかし観光庁は急いで『東北観光博』を開催しているが…。