巻頭言
     「コースタル新規事業」で種まきを
 
                                      常務理事  内田成孝

  当協会が平成14年度から取り組み、平成16年度に国土交通大臣から承認されたコースタル部門の乗船研修制度が順調に滑り出し、 内航海運業界に徐々に認知され始めたことは何よりで関係各位の努力に敬意を表します。 現在自分自身内航海運業界に身を置く者としてまさに時宜を得た事業であり、 大きく育てるべき責任を痛感しています。
 コースタル部門への商船高専卒業生の就業は将来の内航海運を考えた場合、 ますます重要になります。 現在、 内航海運業界では多くの商船大学、 商船高専の卒業生が活躍しています。 起業している者、 営業に直接参画している者、 船舶管理、 安全管理、労務管理を支えている者、 直接内航に入社した人達もいますが、 ほとんどが元外航海運で活躍していた船舶職員達です。 今までは外航海運会社から内航海運会社への人材流通サークルが出来上がっていました。 しかし、 今の外航海運会社は、 合併統合が図られ船舶職員の縮小が進み、 自社グループ内での人材を有効活用するのに四苦八苦で、 外部に人材を提供できる状況にありません。 当然これからの内航海運業界は独自に将来を見据えた人材の育成を考える必要があります。
 平成17年4月1日より 「海上運送業の活性化のための船員法の一部改正」 が施行されます。
 この法改正の目的にも若年船員を確保し将来にわたって安定した労働力を確保することが重要な課題とうたっています。
 内航船員の置かれた現状は高齢化と長時間労働が常態化した労働環境の厳しさ、 若年船員の定着率の低さが問題です。 今回の法改正で船の適正な労働環境を確保し、 効率的な配乗体制の再構築を図ることです。
 これからの内航海運業界は変身を遂げ、 活性化させなければなりません。 意欲の有る船主は海上運送業にも積極的に進出可能であるとともに、 船舶管理会社、船員派遣業と新たな業が可能になりました。 こうした内航海運業の変革に対応するためには、 ある一定の経験を積むことでこれらの業に対し商船高専卒の海技員は無くてはならない存在なのです。
 さて一方、 環境問題は内航船舶にもおよび、 任意 ISM の取得はもちろん環境 ISO14001を取得して環境問題に対応している船舶もあります。 特にタンカー部門はこうした環境問題と荷主から求められる SIRE (SHIP INSPECTION REPORT PROGRAM) 検船報告プログラム 「内航版」 に対応する必要があり優秀な船員が求められています。
 内航物流もモーダルシフトが進むと共にテクノスーパーライナーや、 スーパーエコシップなど環境を考えた物流全体の再構築が行われ内航船もますます高度化されてきます。 これらに対応できる船舶職員の需要は待ったなしです。 また、 京都議定書が発効した現在、 環境に配慮した経営の実践は全ての内航船に求められてくる事でしょう。
 こうした将来における内航海運の発展のためには若き人材が必要です。 「コースタル部門への新規事業」 で即戦力を身に付け、 内航に受け入れられる良質な若き人材の種をまき、 内航海運業界を将来緑豊かな森に育て上げるよう皆様の御力添えを是非お願いします。