海の図書室           

=新刊紹介=

  汽笛の鳴る街
                                            柏木 節子 著

 仕事を通じて著者柏木さんと知り合い 「汽笛の鳴る街」 を寄贈していただいた。
 船乗り家庭の温かさ、 苦労、 お互いの信頼関係、 船員家族でなければ経験できない事柄をさらりと書き流しており楽しく読ませていただいた。 現在は船員生活から離れて十数年、 塩気は無くなったが、 わが家族もこんな気持で毎日を過ごしていたのかと思うと改めて感謝の気持が湧いてくる。
 題名の 「汽笛の鳴る街」 は苫小牧をさすのだろうが、 開発に携わった先人達の苦労、 北海道の大自然と其処にすむ人達の交流、 自然保護に対する努力には感心させられるとともに北海道の魅力を知ることが出来た。 何時までも大自然を残し其処に住む動物達と共存してゆかねばならないだろう。
 近年経済原則で日本籍船、 日本人船員が減少し島国 「日本」 の生命線・海上輸送を外国人船員が担っているが、 彼等を暖かく迎える地元苫小牧のボランティアの人々には感心させられた。 異国で受けた親切は格別なものがある。
 船員家族のみならず、 一般の方々にも是非読んでいただき、 家族とは何か、 日本の貿易や海上輸送、 それを支える人達に想いを馳せて欲しいもの。
本体価格 1,143 円 (税別)
発行所:龍書房
〒102-0072 東京都千代田区飯田橋 2-16-3
 TEL:03-3288-4570


   現代の海賊
           −ビジネス化する無法社会−

                                            土井全二郎 著

 海事ジャーナリストの土井全二郎氏が、 現代の海運界を脅かしている海賊問題を取り上げたのが 「現代の海賊−ビジネス化する無法社会−」 (成山堂書店刊) である。
 海賊というと、 子供の頃に胸をときめかして見た、 帆船時代のドクロマークを掲げて、 剣を振りかざす映画を思い出す。
 現代にもその海賊が実在し、 船舶の運航を脅かしていると言う実態を分かりやすく紹介し、 海賊との戦いに直面して、 素手で戦わざるを得ない船員の苦労や、 実際にどのように対処しているかなど、 乗船している船員にも参考になる内容である。
 海賊は、 ある一面で現在世界的に問題になっているテロの脅威とも共通する面があるようだが、 やはり表題にもあるとおり、 ビジネス化していると言う点でテロとは違うものであろう。
 テロ問題がクローズアップされる中で、 海賊の脅威にも警鐘を鳴らされたことに意義があります。
四六判・224 頁・定価 1,500 円 (税別)
発行所:叶ャ山堂書店
〒160-0012 東京都新宿区南元町 4−51 成山堂ビル
 TEL:03-3357-5861  FAX:03-3357-5867
 URL:http //www.seizando.co.jp
 E−mail:publisher@seizando.co.jp


輸送船入門
         日英戦時輸送船ロジスティックスの戦い

                                           大内 建二 著

 世界有数の船舶量を誇る日本の戦時商船隊はなぜ短期間の間に壊滅したのか、 そしてあまり知られていなかった、 当時の連合軍側の商船護衛戦に於ける勝利がどのようにしてもたらされたのか、 その内容を具体例と図面や写真で紹介している。
 日本の商船壊滅については、 色々な方面から解明が進められ、 かなり明らかになりつつあるが、 本書では青函連絡船全滅の実態が明らかにされている点に興味を持った。
 連合軍の特に英米の商船護衛の戦いがどのように進み、 どのように勝利したかついて明らかにしている点は、 単に戦時商船護衛という範囲を超えた、 組織工学的観点や日本人論的観点からも学ぶべき点が多い。
 事実を正確に把握し、 対処方針を立て、 実践し、 問題点を改善して次の段階に進む。 まさに PLAN.DO.CHECK のサイクルを忠実に実践して、 多くの犠牲は出したが見事に U-ボートとの戦いに勝利した実態が明らかにされている。
 このような観点が脱落した、 軍国主義的な精神論を中心とした日本が商船を壊滅させられたのは当然の帰結であり、 その犠牲はあまりにも大きい。
本体価格 762 円 (税別)
発行所:褐人社
〒102-0073 東京都千代田区九段北 1− 9 −11
 TEL:03-3265-1864

海上保安ダイアリー
         (平成17年版)

                                  海上保安ダイアリー編集委員会 著

 電子手帳や携帯端末が全盛だが、 手書きの手帳を愛用する人も多いだろう。 秋口になると店頭には翌年の手帳が数多く並び、 選ぶのに目移りするほどである。 どれもがユーザーのニーズに応えるべく工夫が凝らされている。
 こうした中、 今年も海事関係図書の成山堂書店から関係者に好評の 「海上保安ダイアリー (平成17年版)」 が発売された。 海上保安に携わる方はもちろん、 海に関係する方々から一般まで公私を問わず便利に使える一冊である。 編集委員は元警備救難監を筆頭に海上保安庁の OB で構成され、 手帳としての機能はすべて網羅しつつ、 海上保安庁関係先住所や警備救難・航行安全・水路・灯台などの資料のほか関係記事や潮汐・日出没などを掲載する。 その他、 海上衝突予防法のポイント図解などもカラーで記載、 また17年版では新たに、 沿岸域情報提供システム (MICS) についての資料も加えている。
 他にはない資料の豊富さが魅力の 「海の便利手帳」 として関係者にはおすすめの一冊である。
ポケット版・上製ビニール表紙・224 頁・
          定価 1,000 円 (税込)・発送費 230 円
発行所:叶ャ山堂書店
〒160-0012 東京都新宿区南元町 4−51 成山堂ビル
 TEL:03-3357-5861  FAX:03-3357-5867
 URL:http //www.seizando.co.jp
 E−mail:publisher@seizando.co.jp