巻頭言  年頭のご挨拶

                                   会長  川村  赳

 新しい年が明けました。 謹んで各位のご協力に感謝申し上げます。
 本来、 人類のみではなく森羅万象はすべて継続の歴史を経てきていますから、 土台新しい年の幕開けなどは有り得ないのでありますが、 過ぎ去った日々を顧みて総括し、 行方の展望を探り寄せる節目としての役割を、 年始は担っているものと思われます。
 そこでこの 1 年を振り返ると、 国家像を思い切って転換させる筈の行財政改革はいずれも中途半端のまま無残な姿を晒しており、 その上に大義なきイラク派兵が重なって国家主権が大きく侵犯されるが如き状況であります。 かつて1985年 9 月プラザホテルの G5 に臨んだ際の教訓と影響は今や明らかであり、 その本質は 「わが国のトップが自らの政治生命を米国に託した」 とさえ言われており、 日米関係は安全保障上だけの従属ではないことを歴史が示しております。 行財政改革にしろ本来プラザ合意直後に政官民一体となって取組むべき課題であったものが、 民間の苛酷なリストラによる再構築に甚だしく遅れて政治課題化したものでありますが、 中央省庁再編に続くテーマであった公務員制度改革、 公益法人改革さえ先送りされ、 この 20年の間、 官民格差は報酬水準のみではなく危機意識の面でも拡大されているといわなければなりません。 官主導、 キャッチアップ型社会の抜本的改革は何ら進展を見せていないのが現状と思われます。
 このような状況下で見通す今後の行方ですが、 これに関して年頭には各マスメディア上に政界、 財界、 それらの評論家を筆頭に各界トップによるメッセージが発せられるでしょう。 庶民の立場からは配偶者特別控除の廃止、 住民税の増税、 年金保険料の引き上げなど負の部分が取り上げられ消費者心理への悪影響が指摘され、 容易な年ではなさそうです。 海運界の諸課題について行政、 船社、 労働組合の首脳が、 どのような発言をするか勝手筋の予測として述べさせてもらうと、 およそ焦眉の急が交じり合わない内向きの話に過ぎないでしょう。 国家政策の観点を棚上げして理念なき緊急対応、 当面の措置を積み重ねてきた結果であり、 官公労使たる本来の使命観は見当たりません。
 私共は、 このような客観状況下で今後の基本的スタンスを求め、 未来を展望していかなければなりません。 その第一の課題は、 本年 4 月 1 日に設置される独立行政法人国立高等専門学校機構の下で再出発する 5 商船高専への具体的かつ実効的支援活動であります。 決定を見た事業方針のもと商船学科卒業会員の海運への就職活動に果敢に挑戦しなければなりません。 幸いこの方針は関係業界、 学校首脳、 更に行政当局の賛同を得て現在有識者による具体的な制度構築を進めております。 広範に活動している会員各位、 同窓会組織の積極的支持と協力を切に求めます。 第二の課題は、 本協会を公益法人改革に先行して自律的かつ積極的に先見性を持つ法人に衣替えを図る取組みであります。 いうまでもなく社団法人の役員は官僚と同様、 その団体と会員に対する奉仕を本旨とします。 そのためには我が法人の事業が社会的信頼を得つつ発展するための組織・活動の規範の制度化が必要です。 国土交通省が示した指針である 「標準モデル定款」 への改正手続きを踏まえ、 具体的発展工程を内外に明らかにしていく所存であります。
 わが国の国益擁護と本協会の更なる発展を期し、 正道を邁進しましょう!