海洋汚染等及び海上災害の防止に関する
法律施行規則等の一部を改正する省令案について





標記に関する改正案が、24年10月、国土交通省より開示されたので概要を下記に記す。
平成23年7月に開催された国際海事機関(IMO)の第62回海洋環境保護委員会(MEPC62)において、MARPOL付属書Ⅴ(船舶からの廃物による汚染防止のための規制)の改正により、船舶の通常活動に伴い生ずる廃棄物の規制対象の見直し等、廃棄物に関する規制が強化された。またMARPOL付属書Ⅵ(船舶からの放出ガスによる大気汚染を防止するための規制)についても改正され、新たに外航海運に対する二酸化炭素放出抑制のための規制が取り入れられた。両付属書の改正は共に平成25年1月1日に発行することとなっている。国土交通省ではMARPOL付属書Ⅴ及び付属書Ⅵを我が国の国内法令でも処置するため「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行規則等の一部を改正する省令案」として発行期日までに改正を行うとして、関係先に開示した。
また24年9月に成立、公布された海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律等の一部を改正する法律により、検査の合理化を目的とした、海洋汚染等防止証書等の有効期間の特例の新設、登録船級協会によるみなし検査※の対象への無線電信及び無線電話施設(以下「無線電信等」という。)の追加等が新たに規定されており、併せて当該規定に関する所要の改定が行われる。
※ 登録船級協会の検査を受け当該船級の登録を行った船舶について、管海官庁の検査を受け、これに合格したものとみなすことが可能な検査

改正の概要
海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行規則等の一部を改正する省令の主な内容は次のとおり。

⑴ 船舶からの廃棄物による汚染の防止のための規則
  ①排出可能な貨物残さの基準について定めること
  (新設)
   「急性水生毒性」及び「廃プラスチック類」を含まないこととする
  ②排出可能な洗浄水の基準について定めること   (新設)
   「海洋汚染物質」、「変異原性」「発がん性」及び「生殖毒性」を含まないこと
  ③船舶発生廃棄物汚染防止規定を備え置くべき船舶を改正すること
   (海防法施行規則第12条の3の3関係)
   「総トン数400トン以上の船舶を「総トン数100トン以上の船舶」とする
  ④船舶発生廃棄物記録簿及び航海日誌への記載要件を追加する
   (海防法施行規則第12条の3の6及び船員法施行規則第11条関係)
    廃棄物の一定の排出を行った場合の記載要件を追加し、船舶発生廃棄物記録簿を備え置いていない国際航海に従事する船舶については航海日誌に記載するよう規定する

⑵ 船舶からの二酸化炭素放出抑制のための規制
  ①二酸化炭素放出抑制航行手引書の承認及び二酸化炭素放出抑制指標に係る確認を行う船級協会の登録に係る手続きの新設
  ②二酸化炭素放出抑制航行手引書の作成に関する事項、二酸化炭素放出抑制指標の算定に関わる技術上の基準の新設
  ③二酸化炭素放出抑制航行手引書の承認及び二酸化炭素放出抑制指標の確認の申請手続き、国際二酸化炭素放出抑制船舶証書の様式等の新設
   
⑶ 検査の合理化関係
  ①海洋汚染等防止証書等の有効期間の特例の見直しに係る所要の規定の整備
  ②登録船級協会における無線電信等のみなし検査に係る所要の規定の整備

今後のスケジュール(予定)
 公布:平成24年12月
 施行:平成25年1月1日

参考
 国際海運のCO2排出削減のための条約改正
1.新たに義務付けられた措置の概要
⑴ 二酸化炭素放出抑制指標の算定
 ・適用対象船舶※1(現存船※2及び航海の態様が特殊な船舶・構造が特殊な推進機関を備える船舶※3を除く)に対し二酸化炭素放出抑制指標※4(Energy Efficiency Design Index:EEDI)を算定し国土交通大臣又は登録を受けた船級協会による確認を受けることを義務付け。
 ・そのうち、船舶の用途及び載貨重量トン数に応じて国土交通省令・環境省令で定める基準の適用がある船舶については、EEDIの値が一定値以下であることを義務付け。施行後は、基準に適合しない船舶の受注が出来なくなる。

  ※1 適用対象船舶: 排他的経済水域(EEZ)を越えて航行する総トン数400トン以上の船舶(海上自衛隊の使用する船舶は除く)
  ※2 現存船: 施行日(平成25年1月1日)前に建造契約が結ばれた船舶(建造契約がない場合は、平成25年6月30日以前に建造に着手されたもの)であって、平成27年6月30日以前に船舶所有者に引き渡されるもの。
  ※3 航海の態様が特殊な船舶・構造が特殊な推進機関を備える船舶: 漁船、巡視船、貨物の輸送に供されない船舶、電気推進、タービン船などを国土交通省令において定める予定。
  ※4 二酸化炭素放出抑制指標(EEDI):1トンの貨物を1マイル輸送する際の、船舶からの二酸化炭素の放出量を示す指標(グラム/トン・マイル)。

〔主機のCO2放出量(g/h)+補助機関のCO2放出量(g/h)−CO2放出削減装置によるCO2削減量(g/h)〕
〔船舶の速力(ノット)×貨物積載量※〕                 
※ 旅客船は総トン数、コンンテナ船は載貨重量トン数の70%の値、
  旅客船及びコンンテナ船以外の船舶は載貨重量トン数

⑵ 二酸化炭素放出抑制航行手引書の作成・承認・備置き
 ・適用対象船舶(現存船を含む)に対し、二酸化炭素放出抑制航行手引書(Ship Energy efficiency Plan SEEMP)を作成し、国土交通大臣又は登録を受けた船級協会による承認を受けること、及び承認を受けたSEEMPの船内への備置きを義務づけ。
 ・SEEMPには、二酸化炭素の放出を抑制するための航行上の措置、二酸化炭素放出抑制指標(算定が義務付けられている船舶に限る。)を記載。

⑶ 二酸化炭素放出抑制航行手引書の項目
  ● 船舶から放出されるCO2放出量を削減するための取り組みの内容
  ● 船舶からのCO2放出削減に関する目標
  ● 船舶からのCO2放出状況の確認方法
  ● CO2放出量を削減するための取り組みの評価事項
  ● 算出した船舶の二酸化炭素放出抑制指標(指標を受けなければならない船舶に限る。)