海の図書室



                                   
 ●航海訓練所練習船に図書を寄贈
 ●海難審判裁決評釈集
 ●<マリタイムカレッジシリーズ〉 船舶の管理と運用


●航海訓練所練習船に図書を寄贈

本協会では、毎年航海訓練所練習船に図書を寄贈しているが、昨年12月19日航海訓練所を内田会長、本望専務理事及び七呂事務局長が訪れ、図書を寄贈した。
贈呈式には、航海訓練所飯田理事長の他、齋藤訓練担当理事、神田教育部長及び三好情報通信システム室長が列席された。
贈呈式の後、しばらく歓談を行い練習船での実習生の様子等が話題となった。
また3月12日、神田教育部長と山下情報教育システム室長が来局され、改めて御礼を述べられると共に購入した図書が「全船協文庫」として各船へ配布されたとの報告があった。
配布された図書が勉学や憩いの時間に活用されることを望むところである。


海難審判裁決評釈集
法学士・弁護士 麻生利勝 監修
21海事総合事務所 編著
本の紹介者 海事補佐人 吉田良治
 私は、海上保安大学校卒業後、海上保安庁に長年勤め、巡視船船長や海上保安部長の経歴があります。
 海上保安庁を退職後は、㈳日本旅客船協会のお世話になり、旅客船のバリアフリー化、省エネ化等のお手伝いをして参りました。 この本の編著者「21海事総合事務所」は、海上保安庁OBの海事補佐人で構成した団体です。
 海難審判裁決評釈集は、主に海難審判の第一審と第二審の裁決が異なる事件について、「21海事総合事務所」構成員の9名が分担して、在職中の知識と経験に基づく検討を行い、その海難事故から浮かび上がる過失責任の内容と事故防止対策等について取り纏め、海難の再発防止を図るための資料として刊行したものです。
 この本の中で、私は監督者の過失責任問題と事故防止について記述しております。
  監督者の過失責任問題については、「酒気帯び居眠り運航による乗揚げ事件で、船長および運航管理者の監督責任が問われた事例」および「カーフェリー船内の車両荷役中事故に係る監督者の過失責任が問われた事例」として取り纏め、事故防止については、「海難事故・海難審判の現状」および「運輸安全マネジメントを中心とした事故防止」について纏めております。
 私が巡視船の船長をしている際、自船の事故防止対策に悩んだ経験があるので、運航管理者や船長等船の運航に携わる方々にとって、事故防止対策は、最大のテーマであろうとご推察いたします。
 事故は、事故の背景にある会社の不適切な管理、設備の不備、不十分な船員教育等の間接的な原因と当事者の不注意による居眠り運行や見張り不十分等の直接的な原因が結びついたとき発生することが明らかになっております。
 この考え方に基づき、平成18年10月から、内航海運業法や海上運送法に定める安全管理規定に基づく「運輸マネジメント制度」が施行され、間接的な原因を把握するヒヤリハット報告、安全対策を進めるためのリスク管理等の実施が求められています。
 しかし、「運輸マネジメント制度」を実施していく上で、現場責任者がいかにしたら良いかお悩みになっている点があると思います。この本の「運輸安全マネジメントを中心とした事故防止」では、運行管理者と現場の責任者が行う安全対策についてお示ししました。
1.海難審判裁決評釈集の内容
第1章  海難審判制度と裁決
第2章  海難審判裁決の評釈
 第1節 衝突事件
  1 衝突事件
  2 視界制限状態での衝突事件
  3 狭い水道で衝突した事件
  4 行き会い船の航法等に関する事件
  5 その他の衝突事件
 第2節  乗 揚 げ 事 件
 第3節  機 関 故 障 そ の 他
2.A5判 266頁 定価 4,830(本体4,600円)
発行=成山堂書店
〒160-0012 東京都新宿区南元町4-51 成山堂ビル
TEL:03-3357-5861 FAX:03-3357-5867
http://www.seizando.co.jp/


<マリタイムカレッジシリーズ〉 船舶の管理と運用
商船高専キャリア教育研究会編
 1970年〜1980年代当初、船員という仕事の達人が私たちの身近に数多くいた。1982年の船員統計によれば日本人外航船員は3.3万人、日本人船員だけで運航していた日本船籍外航船は約1,000隻存在していた。昭和の歌謡曲には船員をイメージした曲がいくつもあり、子供たちが熱中して見ていたアニメのなかには主人公のお父さんを「船長さん」と設定していたものもあった。
 現在、日本船籍の船でさえ、外航船は外国人船員との混乗が当たり前になっている。2010年のデータでは、日本人外航船員は約2,260人、日本人が乗船している日本船籍外航船は約120隻となった。平成に入り、船員をイメージできるJ-POPも存在しないだろう。
 船員の仕事も、これまでの「海の男」というイメージから「高度にシステム化された巨大輸送プラントのオペレーター」に変貌した。船長はこの巨大プラントの総合マネージャー的役割を担っているのである。
  これまで商船高専・商船学科の専門科目の教科書は商船系大学の先生が執筆した図書を使用することが多かった。優良図書もたくさんあった。しかしそれらは、現代の商船高専や海上技術短期大学校の学生にとって、説明が難解なものとなりつつある。そこで私たちは、商船高専や海上技術短期大学校の学生向け、または社会人となった新人海上職の技術者用の基礎図書を提供したいと考えた。この入門書によって、何よりもまず、船の仕事に興味を持ち、海のこと、船のことを好きになってほしい。
 これまでの教科書は、最低限の専門知識を持った動機付けのある学生・社会人技術者を対象としたものが多かった。しかしながら、現代の学生は、船舶についての意識レベルが必ずしも高いわけではない。もちろん、この意識レベルは学生の優秀さと直接の関係はない。30年前のような船員がたくさんいた時代ではなくなり、学生たちが船を身近に感じられなくなったことが原因であろう。そこで本書では、船に親近感を持つことができるように、写真と図を多用し、学生の視点に立った分かりやすい内容・表現を心掛けた。
  本書は3部構成となっている。第一部はCHAPTER1と2である。海上輸送技術の意義や役割、そして船の歴史を導入用にまとめている。基礎知識として役立ててほしい。第二部はCHAPTER3〜6である。この4つの章は本書の基幹を成しており、商船運航技術者が押さえておくべき基礎的な内容を厳選して取り上げている。すなわち、3級海技士(航海)に不可欠な内容である。最後の第三部はCHAPTER7〜9であり、船舶の管理と運用をより深く学ぶために、船舶の性能、操船に関してまとめた。
 今後、商船高専の教員各位が協力し、マリタイムカレッジシリーズとして商船高専・海上技術短期大学校レベルの教科書を海文堂出版から発行していきたいと考えている。期待してほしい。シリーズ第一弾である本書が船員を目指して入学してきた学生諸君の勉学の道標となり、また、新人海上職の技術者が船舶運航の基礎知識を習得する助けになれば幸いである。(「読者へのメッセージ」より抜粋)
A5判・160頁・定価1,995円(税込)
発行=海文堂出版株式会社
〒112-0005 東京都文京区水道2-5-4
TEL:03-3815-3292 FAX:03-3815-3953
http://www.kaibundo.jp/