9月の労働安全衛生月間での訪船活動           


                                     事務局長 七呂 光雄
 本協会が、東京地区の船員災害防止関連団体の会長・事務局を担当するようになった事は、既に前回117号でお知らせしている。
 船員労働安全衛生月間は、船舶所有者及び船員による自主的な安全衛生活動として昭和32年度から実施され、今年度で55回を迎えた。
 東京地区では、東京地方船員労働安全衛生協議会が組織され東京運輸支局を中心に東京検疫所、港区みなと保健所等の役所、せんぽ東京高輪病院、芝浦健康管理センター等の医療機関、関東旅客船協会、東京タグセンター、関東沿海海運組合、全日本海員組合等の労使の各団体、東京海洋大学が構成団体となっている。
 毎年8月に委員会を関催し9月の月間中に訪船する船舶や訪船に同行する団体等を決めている。東京は日本の中心であり、国内各地の協議会は「東京は、どのような活動を行うのか」と注目しており、どこの協議会にも負けられない斬新な活動が求められる。
 この数年の目玉は、東京海洋大学海洋科学部医学博士の佐野裕司先生による腰痛防止の運動の指導である。
 今年も徳島・九州を結ぶオーシャントランスのフェリーや伊豆七島に就航している小型貨物船を訪船して指導を行った。佐野先生は、背骨を強く押しながら腰が強いか腰痛の気があるかチェックされるが、腰痛の気がある者からは時々悲鳴があがったり健常な者は何もなかったような様子で、これらの様子を見ていると楽しいと言えばお叱りを受けることになる。
 佐野先生は、既に実際にフェリーに乗船して乗組員に腰痛予防の指導を行われている。そのポイントは、人の力を借りず自分一人で、侠い船内の部屋でもできる体操を行う事である。
 船員保険関係病院の指導では、医師や保健師さんが訪船して、船員手帳の健康診断欄や事前に渡した問診票を参考にしながら乗組員への健康のアドバイスを行っている。
 保健所の衛生検査では、綺麗にピカピカで一見問題のない厨房に見えるところでも細菌検査で反応があったり、食材関連書類のホッチキスも異物として混入することがあるなど、きめ細かな指導で非常に参考になることが多かった。
 大型船で育った者にとって、499トンクラスの貨物船やタグボートに実際に訪船する事は、別世界を見ているようである。大型船の側にいるときは小さく見えるが、1隻でいる時はとても大きく見え、ミズスマシのように運動できるのが不思議なくらいである。また乗組員が交代で食事を作っているなどの話を聞けば、大型船では信じられないことである。
 全船協の会員は、乗組員として、また会社で船員を管理する立場で働いている者が多いが、全船協としてこのような活動をしながら、安全衛生活動に貢献できることを望むところである。また腰痛防止に関する指導については、改めて会報などを利用して周知できればと思う。