公益法人改革の検討状況
                                 事務局長 七呂 光雄


T これまでの公益法人と新法人制度改正

1 公益制度の始まり
 日本の公益法人制度は、 明治29年の民法制定とともに始まり、 現在全国に約2万5千に上る公益法人がありますが、 全船協の前身 「全国商船学校十一会」 は、 昭和27年社団法人として公益法人になり再スタートしました。
 これは、 全船協が各商船学校の同窓会の連合体的な性格でありながら、 法的には公益法人として海事に貢献する公益性を求められる団体である根拠となっています。

2 公益法人制度改革と関係法成立
 民間非営利部門の活動の健全な発展を促進して民間による公益の増進を寄与することや、 これまで管轄する官庁からの許可の不明瞭性の問題解決が求められるようになり、 平成13年以降制度改正が進められ有識者会議の議論等を経て、 平成18年の通常国会で公益法人制度改革改正関連法が成立し、 いわゆる 「一般法人法」、 「公益認定法」 及び 「整備法」 が平成20年12月1日に施行されました。

3 新制度への移行
 従来の公益法人は、 平成20年12月1日の新制度移行後5年間は、 新法に適合するために定款や機関を変えて大きな混乱が生ずる恐れを防止するため特別の手続きをとる必要もなく 「特例民法法人」 として従来通りの活動を行う事ができる事になっています。
 このため全船協もこれまで通りの活動を行ってきましたが、 平成25年11月末までに新しい法人へ移行しなければ解散せざるを得ないことになります。
 政治の世界では 「事業仕分け」 でこれまでの不合理な事項が仕分けられようとしていますが、 公益法人についても国からの補助金や役人の天下りが問題となり、 そのためにも新法人への移行が進められました。 その結果国からの補助金もなく役人の天下りもいない全船協のような法人でも新公益法人制度の洗礼を受ける結果となりました。

4 公益社団法人と一般社団法人の選択
 これまで公益法人という名前の通り各法人は公益性の活動を行う団体となっていましたが、 新法では、 公益性を追求しない法人も一般社団法人として設立可能であり事業や目的に全く制限がありません。 また、 不特定多数の者 (全船協で言えば会員以外を含む) の利益追求を主目的とするならば公益社団法人になることがステータスや税制面で有利ですが、 公益事業内容は法律の適合性が厳しくチェックされます。
 全船協では、 当初公益社団法人の道を進むように検討してきましたが、 その後の検討結果規制の比較的厳しくない一般社団法人として進むことを平成22年の総会で決定しました。

U 全船協の法人制度の主な変更点について

1) 定款変更の検討案について
 新法人に移行するには、 法人の憲法とも言える定款を変更する必要があり、 最終的には、理事会や総会で会員により決定されますが、 現在事務局で検討している案の主な変更点は次の通りです。

1 事業目的の変更
 全船協が会の目的に沿って具体的に行う事業内容であり、 逆に言えばこの目的に合わない事業活動を行う事はできません。 今後の活動指針であり、 全船協会員が海運会社だけでなく海底資源探査等海上だけでなく海底でも活動している状況から、これまでよりも幅広く事業が行える目的としました。

2 正会員が社員
 社員とは、 株式会社の株主みたいなものですが、全船協が目指す一般社団法人等の構成員を法律上の用語として呼んでいます。 全船協の新定款案では、 正会員を社員としています。 また、 次の3項とも関連しますが、 検討の段階で代議員制度も論議されましたが、 この場合は、代議員が正会員となる予定でした。 新たな案では、 正会員全員が社員となる制度です。

3 準会員制度の導入
 正直に言って学校を卒業されても数年で退会される会員の方が多く、 組織の存亡に関わる重要な問題となっています。 また調査によると卒業前の練習船下船直前でも全船協が知られていないという結果がでています。
 学校関係者の理解もあり新定款案では、 在学中の4年・5年生の希望者に会費の不要な準会員として加入していただき、 学校を卒業されたら正会員として身分変更していただく会員制度を検討しています。

4 総会の定足数
 これまでの定款では、 会員が海上勤務であるという特殊性から会の最高決定機関である総会に参加することは困難であるという事情から、 定足数を正会員の10分の1以上の出席があれば成立することになっていました。 定足数の少ない点をカバーするため、 法の定めはないが評議員会を設置してチェックや提言が出来る機関をもうけています。 しかし新法では、 法人の運営が一部の偏った者だけで運営されることを防止するため、 定足数は過半数 (委任や書面表決を含む) となっています。

5 理事の数
 総会は代理の者が出席する事が可能ですが、 理事会は代理出席ができません。 また、 既に新法人に移行した他法人では、 これまでより理事が少なくなっているところが多いとのことです。 このような状況に鑑みこれまで 「30名以上35名以内」 から 「10名以上15名」 としました。 尚、 数の幅としては、 公益法人に関する相談会等で最低数の1.5倍程度の幅でなければならないとのアドバイスによるものです。

6 常務理事会や評議員会の廃止
 現行定款では、 常務理事がいて略毎月常務理事会を開催するとともに、 評議員が置かれ必要に応じて評議員会が開催されていました。 これらの制度は、 新法人制度では規定されていないため新定款案では廃止することになっています。

2) 公益目的支出計画
1 「公益目的支出計画」 の作成義務とその理由
 全船協が一般社団法人に移行するには、 「公益目的支出計画」 を作成しなければなりませんが、 これは 「定款変更」 と同様に移行するための重要な認可条件となります。 これは、 これまで公益法人が寄付金や善意の資金提供を受けたり、 税制の優遇を受けて財産を蓄積したとの考えから、 移行に当たってそれらを全て支出させようという考えによるものです。

2 全船協としての 「公益目的支出計画」 について
 全船協としても移行時の残余財産に相当する金額が支出、 寄付、 継続事業の支出等によってゼロになるまでの計画を作成しなければなりませんが、 数々の問題点があります。
@ 定款上の事業目的
 今後公益性のある事業として計画される事業が、 定款の事業目的に沿ったものでなければなりません。
A 継続事業と新規事業
 全船協は、 これまでも公益法人として公益性のある事業を行ってきました。
 また新法人になれば新しい公益事業を行うことも可能です。 しかしながら現在検討しているのは、 これまでの事業を継続した計画としています。
B 収益事業
 「公益目的支出計画」 で 資産がゼロになるまでの計画を作成" すると、 活動が出来なくなります。 継続のためには会費収入の確保と資産運用や事業によって収益をあげる必要があります。
C 計画期間と行政庁の監督
 全船協は、 これまで国土交通省が監督する公益法人として活動してきましたが、 公益目的支出計画が終了 (20年、 30年又はそれ以上も考えられる) するまで同省の監督を受けますが、 計画が終了すればどこの行政官庁からも監督を受けない自由に事業のできる一般法人となります。

V 新法人移行に向け是非会員に協力をお願いしたいことについて

1 会費の納入へのご理解
 全船協の会費は、 一部の会社に所属している方々は給与から天引きされていますが、 その他の方々は自主的に郵便振替等で送金しなければならず結果的に未納となってしまうケースがあります。
 新法人制度は、 一人一人の会員の意見をこれまで以上に会の運営に反映することを求めており全船協としてもそのように対応しますが、 会費を納入していただくことが会の存続と会及び会員の方々の発展に繋がることをご理解され、 会費納入にご協力をお願いします。

2 総会成立の為の手続きへのご理解とご協力
 これまでの総会は、 正会員の10分の1以上の出席で成立していましたが、 新制度では、 正会員の過半数以上の出席がなければ成立しません。 特に、 定款変更等の重要な決議 (特別決議) については、 総正会員の3分の2以上の議決が必要となり今までの総会成立からすれば、 非常に厳しい成立要件となっています。
 このような状況に対応する為には、 委任状や書面表決を必ず提出していただく必要があります。 これらは電子メールでも有効となります。 会員各自 (留守宅を含む) と全船協が連絡が取れる態勢を確立しなければなりません。
 会員の方々の連絡先や連絡方法、 特に電子メールアドレスの把握が重要であるだけでなく、 今後総会通知のお知らせが行くようになりましたら必ず出欠の可否、 出席できない場合は委任書面表決等の手続きをされますように、 ご理解とご協力をお願いします。
以上

・住所変更したら、 本誌末尾にある 「諸事項変更届」 で、 必ず全船協にも連絡しましょう。
・総会に欠席する場合、 必ず委任、 または書面表決を行いましょう。