現代GPフォーラム



 
海事技術者のキャリア育成プログラム
−強い職業意識と高い職業能力を備えた海事技術者の育成−
中間報告

−2008年12月8日(月)−
             於 海運倶楽部2階ホール(東京)  参加者153名

                    (講演内容を要点筆記したものである)
                        
文責 (社)全日本船舶職員協会
                                 事務局長 本望 隆司

                   目   次
開    会
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 富山商船高専・校長

挨    拶
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 国立高等専門学校機構理事 木谷雅人氏

挨    拶
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 文部科学省高等教育局専門教育課企画官 坂口昭一郎氏

挨    拶
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 国土交通省海事局海事人材政策課長 蝦名邦晴氏

現代GP「海事技術者のキャリア育成プログラム」の概要
・・ 富山:遠藤

教育プログラム実践報告-1 職業意識の育成
海事技術者に必要な「働く意識」と「海事技術者を目指す意識」の育成を目指した教育プログラム:
(1)仕事学講座 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 鳥羽:宮林
(2)海運企業見学
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 弓削:児玉

(3)現役船舶職員講演会
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 大島:岩崎

(4)海運企業インターンシップ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 広島:水井

教育プログラム実践報告-2 職業能力の育成
「論理性・表現力」、「資格証明を伴う専門性」と「国際性」などの海事技術者に必要な能力の育成を目指した教育プログラム:
(5)論理的な記述・表現作法講座 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 呉(富山):岩城
(6)海技士資格対応講座
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 鳥羽:嶋岡

(7)海外語学研修講座
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 富山:クーパー

(8)英語による練習船実習
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 大島:杉本

海事教育機関の課題と現代GPへの期待
・・・・・・・・・・・・ 全船協・会長

閉    会
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 広島商船高専・校長


      
開会宣言

富山商船高専 校長 千葉 貢
 本日はご参加ありがとうございます。 2年半実施した 「現代 GP」 の総括を報告します。 今後の活用に関すること、 商船教育のあり方に関することなど忌憚のないご意見を賜りたい。



      


挨 拶

国立高等専門学校機構理事 木谷 雅人氏
 本日は多くのご参加をいただき、 国交省、 文科省、 全船協も参加いただき感謝します。
 商船高専は歴史的に社会に大きな貢献をしてきたが、 近年海運を取り巻く情勢から多くの課題があり、 学生の側にも職業意識の希薄化など多くの課題に直面しており、 5商船が連携して学生に対して 「分かり易い夢への道筋の提示」 というテーマを掲げたことは、 大変適切な提起で時宜を得たプログラムであると思います。
 特徴的には、 各校で努力してきたものを5校が連携して取組んだこと、 外部との連携 (全船協、 船社、 船協など) を進めたこと、 教育の方法に IT の活用で5商船にテレビ会議システムの導入、 国際化への取り組みとして海外語学研修や英語教育の促進などの特徴が挙げられます。 現代のニーズにあった、 世界情勢にマッチしたものとして高専教育に示唆を与えるものであると思います。
  


文部科学省高等教育局専門教育課企画官  坂口 昭一郎氏
 高専は、 37年以来40数年の歴史があり、 商船は100年以上の歴史を持っている。 商船高専は過去色々問題があった。 現在では、 グローバル化する中で優れた船員の輩出が求められている。 商船高専が5年半の教育を行うために情熱を持ってやってきたが、 「年間200人と言う養成規模でよいのか」 という問題もある。 文科省としては高専機構と連携して対応してまいりたいと思うので、 出席の皆様のご協力をお願いしたい。
 本日のフォーラムは、 文科省として特色ある教育の取組に支援をしてきたが、 5商船高専が連携して 「海事技術者のキャリア育成プログラム」 に取組むもので、 WEB 講義や E ラーニングの導入など、 特色ある取組で高専や大学にも参考になる取組である。 今後もさらに発展させ、 産学官の連携を強めて海運業界の人材開発に協力いただきたい。



国土交通省海事局海事人材政策課長 蝦名 邦晴氏
 海運界は、 日本人船員が2600人規模にまで減少し、 一方で海運は好況である。 この秋からは金融をきっかけとする大波がきて不透明感がある。 人材の確保は地道に取組んでいくことが必要である。 国交省としても交政審でヒューマンインフラの確保を検討推進しているところである。 その中でトン数標準税制を導入し、 国際競争力を持つ海運の確立をはかり、 その事業者には計画的に船員育成を義務付けるなど色々取組んでいる。 最近海事センターのアンケートでは若者の海離れが進んでいる実態も明らかになった。 もっと若者に海の職場への意欲を持ってもらうことが必要である。
 そのような若者の教育に取組んでいる商船高専としては、 若者の意識変革に悩んでいるだろうと推察される。 本日のフォーラムで掲げた 「強い職業意識と高い職業能力の育成」 という点は時宜を得たものと思う。
 我々は 「次世代人材育成推進会議」 で若者の意識を変える広報の強化に取組んでいる。 この取組にも船社はもちろん本日お集まりの皆さんの協力を得たい。 次世代人材育成は困難であるが、 皆さんとともに文科省とも連携して取組んでいきたい。
   



現代 GP 「海事技術者のキャリア育成プログラム」 の概要
                       富山商船高専教授 遠藤 真
 このプログラムは5商船高専で申請し企画した。 全船協は関係方面の窓口として参加してもらった。
 募集テーマ 「実践的総合的キャリア教育の推進」 に平成18年度5商船高専が一緒に応募し、 応募総数176件の中で採用された33件のうちの一つとなった。 ユニークなものとして選定された理由は、 5商船が纏まっての実施、 キャリア育成のための総合的プログラムの開発、 海事産業や同窓会との連携などが評価された。 期間は3年間で20年度が最終年度である。
 全体概要は、 背景として5商船高専は40名定員の商船学科があるが、 海運業に進む人材が少ない、 なかなか海事技術者への強い職業意識や勤労意識が育たない、 改善のためにキャリア育成プログラムと高い職業意識の育成を5商船が連携して取組むこととした。
 職業意識の育成のために仕事学講座、 海運企業見学、 自己の意識表現能力、 現役船舶職員講演会、 2級海技士受験支援講座、 海運企業インターンシップの実施、 英語能力向上のために海外語学研修プログラムと学校の練習船で英語による乗船実習の実施などを行った。 これらは今までも各校で取組んできたが、 これを5商船連携により効果的に推進することを目的としたプログラムである。
 実施態勢は、 各学校がテーマを担当企画し幹事校として実施する、 これを関連団体 (同窓会・全船協など) や企業で支えてもらう態勢とした。
 幹事校は次の各校が担当した。 富山は海外語学研修とキャリアガイダンス。 鳥羽は仕事学講座と海技士資格取得支援。 大島は論理性表現力育成講座と WEB 講義システムの構築。 広島は現役船舶職員講演会と海運企業インターンシップ。 弓削は海運企業見学と英語による乗船実習を担当した。 延べ人数は教員が約60名、 全船協は専門委員会を設置し対応した。 学生への対応として地方に散在する各校を WEB 会議システムで結び講義と質疑を可能とする同時性を持ったシステムを構築した。
 このプログラムの特色として、 初めてのキャリア育成の総合的プログラムであり、 5商船高専と関連する団体・企業により行われた。 その成果としては、 海事分野の強い意欲と意識を持ち国際性と専門性を備えた人材育成に貢献するものと期待される。 又資格取得率も向上することが期待される。 又、 開発したプログラムは商船高専に限らず海事教育に共通したプログラムとして応用できると考える。 又広域連携教育のきっかけになるものと考える。 更に各校個別の教育資産を広く有効活用できると期待する。
 具体的取り組み内容の詳細は各報告参照。
 キャリアガイダンスについては、 個別進路指導というもので、 4年生まで乗船経験のないまま、 進路を4年生で決めなければならず、 海技免状取得準備もしなければならないため回数を多くし効果があった。 計量的な結果としては、 H19、 H20年度は海事関連企業に8割が就職し、 うち約6割が船員となっている。
 就学達成率 (卒業数/入学数) は約1となった。
 3級海技士免状取得率は約8割となった。
 この結果は海運の求人が急速に増加した結果であり、 このプログラムの成果とは必ずしも言えないが、 このプログラムは3年間実施したので、 何らかの貢献はしていると自負している。
 このプログラムは多くの先生の自主的な努力により開発されたが、 海事技術者育成教育と正課教育との連携の部分は甘さがあったように思う。
 今後の課題として、 キャリアガイドラインの教材作成を企画中である。 更にこのプログ
ラムを継続していくための予算措置、 海事正課教育との連携、 産官学の連携の強化、 共同教育の推進などが必要と考えている。
 
       


1−教育プログラム実践報告

職業意識の育成 海事技術者に必要な 「働く意識」 と 「海事技術者を目指す意識」 の育成を目指した教育プログラム:

(1)仕事学講座
 鳥羽商船高専准教授 宮林 茂樹
 
 仕事とは何か意味を調べると 「生計を立てるために日常従事している仕事」 であるがこれではしっくり来ない。 いざと言う時には命をかける消防士や保安庁職員は単に生計維持だけとは言えない。 プラスアルファの喜び (情熱) や使命感 (消防士・保安庁職員・企業戦士など) があり、 教員はこのプラスアルファを教える必要があるとの認識をした。 これにより学生には仕事感が確立できる、 それにより天職 (その人の性格・能力にふさわしい職業) と言う認識が生まれる。 仕事感が分れば自分にあった職業、 企業に就職するために調査する必要が生まれる。 目的とする会社の情報収集が必要となる。 会社が絞り込まれれば、 会社や OB 訪問となる。 更に面接対策をやっておくべきである。
 その結果、 情報収集スキル要請と面接試験対策の2点に絞り込んだ。 情報収集スキル対策は富山が担当し、 面接試験対策は鳥羽が担当した。
 情報収集スキル (富山) は商船学科3年生45名、 H19年度後半の期間、 方法は各自好みの企業について調べ、 企業研究発表を行う形をとった。 クラスを4−5人のチームに分け、 発表を報告者、 司会、 質問の各チームに分ける。 その狙いは学生に役割を与え遊ばせない事である。 最後に全員評価表を提出させるので、 役割がなくても全部見ておかなければならないと言う緊張感を持たせたのが特色である。 調査能力の向上のほか、 それを発表するための情報の整理と表現力、 質問するための表現力、 回答の表現力などが養われる。
 面接試験対策は、 鳥羽が担当し、 外部から講師を依頼、 昨年11月に3回実施、 授業に組み込めないので放課後に行った。 学生は4年生43名中約30名が参加した。 1回2回は基礎の説明で3回目は模擬面接を行った。 その結果かなり効果があったと思う。 今後の対応として、 企業研究と面接マナー講座のテキストをまとめることとしている。
  


(2)海運企業見学
弓削商船高専教授 児玉 敬一

 当初、 5商船共同の見学会を考えたが、 遠隔地の各校が集まることが困難であると同時に多人数では現実的でない事が判明し、 各校が行う見学会の共通の課題を共有することを目的とした。 実績の中には、 商船学科全員で行ったものや航海・機関に分かれて行ったもの、 あるいは希望者だけというものがある。 同じ企業でも班に分かれて実施したものがある。 実施はバスツアーによる、 宿泊して複数日で行ったり、 練習船で立ち寄った港の企業、 学校近隣の企業や入港船訪問、 近隣造船所の進水式見学などを実施した。
 課題としては、 1つは見学する先が学生によっては自己の職業意識が十分でない場合がある。 高専での企業見学は一般的社会科見学とは違い職業意識を持つことが大切である。 もう1つは自己の職業意識と違う見学先では全く興味を示さないことがあった。 見学先の選定は限られた範囲の中で行わざるを得ないので、 それをいかにして割り振るかと言う問題に直面する。
 これを上手く運営するためには、 職業の情報を把握しようとする意識の高揚が必要である。 そのため事前教育の教材として 「企業見学の手引き」 を作成した。 又、 この教材を見学時には手元資料として活用し、 さらに資料に添付したアンケート用紙を提出させて効果の確認に活用した。 この手引きには先輩の有無、 企業方針、 企業規模など参考となる事項を記載した。
 アンケートの中間集計では、 回収率90%、 「仕事のやりがいがあると思うか」 について回答は82%が肯定的だが、 「自信はあるか」 には82%が3−1の評価、 「仕事に興味があるか」 5−1とばらつきあり、 給与・福利厚生は 「よく分らない」 となっている。 これはあくまで中間集計の結果である。     
  



(3)現役船舶職員講演会
大島商船高専教授 岩崎 寛希

 少子化で大学、 高校は全入時代となり、 あの手この手で学生を集め手塩にかけて育てる。 サービス向上を図り、 専修学校化している。 就職率向上の為キャリア教育の単位化や3ヶ月に及ぶ長期インターンシップまでやっている。 高専は46周年の歴史の中で、 このような教育は以前から行ってきた。 好不況にかかわらず面倒見がよいという評価を得てきたと自負している。
 こうした背景からもう一段キャリア教育に磨きをかける必要を感じている。
 学生の行動や関心を就職モードに切り替えることがキャリア教育であると思う。 その為には社会的に地位の高い OB からの話や最近卒業した身近な OB から話を聞くのは効果がある。 このような活動は各校・各担当者ベースではこれまでも行われていたが、 やったりやらなかったり、 OB もボランティアのため学校近くの人に絞られるなど制約が多かった。
 これを改善し定期的に・全体的に実施するため、 WEB 会議システムを導入した。 これは LAN を利用した映像・音声の双方向システムである。 富山にサバーを置き管理する。 各端末はパソコンがあれば、 ソフトをダウンロードし WEB カメラを付ければ何処でも利用可能である。 パスワードでセキュリティは確保される。 運用は講演者・司会者・オペレーターにより行われる。 1校で講演して他4校で放映される。 また各会場の様子も画面に映し出される。 同じコースを歩む学生同士の刺激となる効果がある。 質疑も何処から出ても司会者の采配で可能である。
 これまで OB による WEB 講演会は3回実施 (鳥羽、 富山、 広島) された。 その都度アンケートをとっている。 5段階評価で行い、 質問は
1. 卒業後の職業について知る機会となった
2. 興味あり面白かった
3. 講演者の仕事について理解できた
4. 講演者のような仕事につきたいと思った
 結果はほとんど3で可もなく不可もないというものであった。 これは学生がシステムの珍しさを感じない世代である事、 システム操作の不慣れによる進行の不具合なども影響していると考えられる。
 残された課題としては、 ネットの利用回線が無料の公的機関のものでは混雑するので、 ストレスのない民間ネットの利用の検討。 システムの運用はオペレーターの能力にかかってくるが、 WEB 会議を主催し慣れてくれば問題は解消される。 講演会を継続していく場合に使用率向上によりサーバーがダウンしないようサポートが必要である。 講演会の場所・時間に関しては、 各校統一した時間の設定が必要である。 放課後ではなく授業に組み込まれるべきである。 講演会のスタッフには講師、 司会、 学生係りの3人の教員が必要と考える。       
   


(4)海運企業インターンシップ
広島商船高専教授 水井 真治

 海運企業インターンシップは4、 5年生の高学年を対象とし夏休みの1週間程度海運企業・全船協の協力を得て実施した。 実施に当たり事前に各校・全船協と打合せを行い、 組織作りをした上で取り掛かった。 目的は学生に卒業前に就業体験による適応性と必要とされる能力の認識を持たせることである。 大手3社が実施するインターンシップと同時並行して行った。 2007年は試行段階で内航中心に15名の参加。 2008年は45名で目標どおりの実績であった。
 実施対象は、 外航だけでなく海事技術者を必要とする海運関連企業も含める。 参加学生は素直に吸収していた。 企業によっては単に乗船させるだけでなく、 事前に内容説明や機器取扱い要領の説明など準備している企業もあった。
 終了後アンケートをとった。 5段階評価により自由記述欄も設けた。 実施前と後で行ったが学生の評価は高かった。 企業からもアンケートをとったが高い評価であった。 継続するよう要望もあった。
 企業からの要望としては 「聞きたいことなどがあれば事前に出してくれれば、 準備して対応できる」 との意見もあった。
 今後の課題は、 外航大手以外の船舶管理会社にも行かせたい。 学生の体験発表会の設定も検討すべきである。
 海事社会のニーズを汲み取り協力していきたい。      
  


(休憩)


教育プログラム実践報告−2 職業能力の育成 「論理性・表現力」、 「資格証明を伴う専門性」 と 「国際性」 などの海事技術者に必要な能力の育成を目指した教育プログラム:

(5)論理的な記述・表現作法講座
呉 (前富山商船高専) 高専准教授 岩城 裕之

 5商船高専における国語教育は個々に実施されてきた。 今回富山、 鳥羽、 大島3校を中心にまとまったものを作る試みを行った。 富山は6か月分の新カリキュラムを作成し実践、 鳥羽・大島は現行カリキュラムの中で工夫して実施、 広島・弓削は従来通りで実施すると言う3つのカテゴリーで実施してみた。
 富山の新カリキュラム半年実施は、 3年生の後期とした。 その理由は4年生はインターンシップ、 5年生は就職活動を行うため、 3年後期が適当と判断した。
 学生は、 書く事に慣れていない。 「書く事がない」 「何を書いて良いか分らない」 と言う。 書くために必要なこととして、 頭の中でシナリオが無いと書けない。 それをいかにするかに15時間の授業のうち1/3の5時間をあて、 5時間を文書の書き方に、 5時間を就職に役立つ文書 (履歴書) の書きかたにあてた。 小論文はアカデミックライティング・研究活動の上で必要な文書と実用的な文書などを取り入れた。
 1. 「文書を書きなさい」 と言われて、 書く事がないと言う場合どうやってひねり出すのか、 ブレーンストーミングをやるが、 連想しても知識が無いと書けない。 就職活動で必要な SPI をまず行い、 自分を知ることを国語の時間に取り入れた。
 2. 「書く事はあるがどう書いてよいか分らない」 ことについて、 レストランのメニューを利用した。 情報の分析の仕方を学ぶ。 メニューは食べて飲むという順番に並べてある。 イラストや図表を入れて分りやすくするのも効果的である。 掲示物やマニュアル作成を教えやってみる。 書体はパワーポイントにはゴシック体が良い、 それは線が同じ太さなので後からでも見やすいためであることなどを学ぶ。
 これらを踏まえて、 次の5時間は文書の書き方を学ぶ。 文書は普通 起承転結" と言われるが、 これを序論・本論・結論とすることとした。 起承転結では転で内容が飛んでしまい一貫性のないものになりかねないからである。 序論・本論・結論の3段落としトピックセンテンスとサポートセンテンスで構成する。 長さの調整はサポートセンテンスで行えばやり易い。 これはアカデミックレポート、 報告書、 企画書に応用できる。
 小論文の作成では、 業者テストを利用した。 それは100分の授業で50分演習し、 次回までに添削して返すと言う作業が膨大だからである。 外部評価を受けるメリットもある。
 3. 就職に向けての文書作成講座では、 以前 「文書はかけなくても困らない」 と言っていたのが、 これまでの授業で必要性が分ってきている。 履歴書の書き方、 筆記用具の選び方、 自己 PR (SPI を利用している) の仕方をまなぶ。
 依頼とお礼の手紙の書き方では、 インターンシップの依頼とお礼の文書をロールプレイイングでやってみることとした。
 取り組みに対する学生の評価は、 やってよかったと言う評価で、 狙いが分ったが100%、 役に立ちそうが80%である。 今後の課題は、 教師への負担は重いがもっと実習させたい点である。 その一方実用的なことは大切であるが、 文学作品の学習をどのような割合で教えるのか検討を要する。
 今後の課題として国語の担当者が変っても均一の内容となるようテキストの作成を予定している。       
  


(6)海技士資格対応講座
鳥羽商船高専准教授 嶋岡 芳弘

 商船高専では3級海技士の養成がもとめられているが、 WEB 講座では2級海技士試験を対象とした。 現代 GP の目的の3本柱の1つの職業能力の養成の一環で、 正課教育の進展と連携しつつ、 自学自習を支援する高学年対象の資格取得支援プログラムである。
 AV.COM を利用した WEB 会議システムで、 端末は PC と WEB カメラがあれば利用可能なシステムで5商船を結んで行われた。
 1年目は、 資格取得対応講座のため5校が持つ資料を訪問の上調査した。 その中で明らかになったのは、 各校とも国家試験取組みは個人指導的な形となっており組織的な取組の必要性を感じた。
 2年目は、 商船高専としては初めての WEB 講義をやってみた。
 19年度は10月から1月まで、 16時30分開始で30分から1時間、 航海8回、 機関4回実施。 海技試験の受験のポイントを分りやすく説明した。 20年度は講義者から 「各校の学生の様子が分らない」 「黒板の字は読めない」 などの指摘を受け、 パワーポイントを使うか資料を事前配布することとした。 又、 全校一せいの日程が決めにくい点もあった。 効果のあった点は、 他校の先生の授業が受けられて良かった、 常時やって欲しい、 などの意見をもとに、 7月から10月まで放課後30分から1時間、 航海3回、 機関6回実施した。
 参加者アンケートでは、 2級免状を取りたいとする者は70%あったが、 WEB 講座参加者は3割にとどまった点は改善の余地がある。 評価される点としては、 資料が整理されていて分りやすかった、 講座の内容が試験に出た、 合格できたなどである。 この講座が学生の資格試験受験への動機付けとなり、 やる気を生んだと言えよう。
 問題点としては、 放課後のため学校行事やクラブ活動、 帰宅の交通手段の制約など参加できない学生がある事である。 授業の一環として組み入れる必要がある。 又いつでも WEB で参照できるようにして自学自習に活用できるようにすることも検討課題である。
 2級海技士試験対象に専門科目に取り入れていけば有効な手段となりうるだろう。
  


(7)海外語学研修講座
富山商船高専講師 クーパートッド

(本稿はクーパー先生が英語で発表されたため、 筆者はそれを日本語に要点筆記するほどの英語力を持ち合わせておらず、 配布資料の 「中間報告」 をそのまま引用した)
◆目的 日本の高等専門学校の制度は、 実践的な知識と技術に焦点を置きながら高等教育を施しています。 その結果、 学生は、 卒業と同時に、 現場で効果を上げ、 社会に対しての有意義な貢献が可能になります。 また、 技術としてはよく見落とされがちになりますが、 第二言語でのコミュニケーション能力も、 現代社会では重要になってきています。
 その点を考慮して、 我々のワーキンググループは、 各学校に留学プログラムを設立するという大きな目標と共に、 現在在学中の学生の英語能力の向上と文化的理解を深めるという当面の目標を設定しました。 現代 GP プログラムの中では、 富山で1回、 神戸で2回、 計3回のワーキンググループのミーティングを開催しました。 また、 それとは別に、 インターネットを通じてのミーティングも行いました。 さらに、 ワーキンググループのメンバーで、 留学プログラムで選んだふたつの教育機関 (カナダのコモックス・バレーにあるノースアイランドカレッジ、 及び、 オーストラリアのブリスベンにあるボンド大学の両校) を訪問しました。
◆海外語学研修講座
カナダ 2007年1月、 5商船高専からの代表者がカナダのコモックスに出向き、 ノースアイランドカレッジを訪問しました。 滞在中、 キャンパス内を案内され、 授業も参観し、 ホームステイ先を訪れたりしながら、 現地の担当者や教員とミーティングを行うことによって、 プログラムの内容を評価することができました。
 8月には、 13名の学生が4週間、 さらに2名の学生が3週間の語学研修を行いました。 このプログラムでは、 午前中に英語の授業が実施されました。 そこでは、 1人の専任教師が参加した学生を一つのグループとして指導するという形態で行われました。
オーストラリア カナダでの結果はかなり満足できるものでしたが、 さらに学生のレベルに沿って語学研修をさせようとする決定がされました。 我々のガイドラインに沿えるような学校をリサーチした後、 オーストラリアのゴールドコーストにあるボンド大学が選ばれました。
 2008年1月、 4商船高専からの代表者がボンド大学を訪問しました。 そして、 18名の学生が4週間、 さらに3名の学生が3週間の研修に参加しました。 このプログラムはレベルに応じて、 異なるクラスで授業を受けるという形態を取り、 午前と午後に英語の授業を実施しました。
◆成果 両方の語学研修プログラムも比較的うまくいきました。 そして、 2種類の学習環境の効果を比較することもできました。 さらに、 現代 GP プログラムを通して、 プログラムをうまく実行するには何が必要になるのか明確になりました。 富山商船は、 カナダやオーストラリア、 ロシア、 韓国、 中国での留学生の実績があります。 留学制度は、 学生にとって当然のものになっています。 これにより、 研修の計画を実行し、 学生のためのオリエンテーションを行い、 教員が引率する予算を確保し、 研修に参加した学生の単位認定を行うための留学支援室の設立に貢献することができます。
     
     
  


(8)英語による練習船実習
大島商船高専助手 杉本 昌弘

 外航海運では多国籍・多言語で、 英語のコミュニケーション能力が求められている。 又練習船での英語実習が行われているので、 それにスムーズに対応できる能力が必要である事から、 各校練習船での英語コミュニケーション実習を導入することとした。 そのためニーズの分析と目標設定のため、 事前に訪問調査を行った。
 航海訓練所の青雲丸訪問では、 持つべき英語能力について、 基本語彙を持つこと、 入出港時の英語フレーズの習得。 又英語を使うこと自体に慣れておくことなどが分った。
 フイリピンの日本船社研修センターでのニーズは、 船舶事務遂行に必要な実践的、 基礎的英語能力が求められた。
 アメリカのマリタイムアカデミーでは、 使用する英語は IMO の標準海事フレーズとし、 日本語の影響を受けたフレーズは好ましくない、 ネイティブの作者の海事図書で正しい英語を使うのが良いとされた。 同アカデミーの練習船ゴールデンベア・タグ・シミュレーター実習などを見学した。
 以上のような事前準備を経て、 プログラムを開始した。 対象は高学年の4−5年生で、 使う英語は船内で使われるコミュニケーションとし、 5校で共通のフレーズ集を作成した。 それでカバーできないものは各校で自主的に対応した。 整列点呼、 出入港、 揚投錨、 機関操作などで実施した。 紙による媒体のほか電子媒体の教材を作成し、 アニメーションも取り入れた教材を作成している。 このような教材で学生が作業の流れと関連付けて自習できるようにしている。
 アンケート調査では、 英語を話すことはメモを見ながら話せたが、 聞くことは半分程度で、 ヒアリングが困難である事が分る。 このような研修は有意義で必要かとの設問には、 必要であり、 将来の仕事に必要である事を認識している。 今後効果的に行うのにどうするかとの設問では、 高学年でいきなり行うのでなく、 低学年から実施すべきであるとの結果であった。 自由記入では、 学生はおおむね肯定的である。 低学年からはじめるべきである。 学校生活でも英語を使う機会を増やして欲しいというものであった。 教員からは語彙を増やさないと実習にならない、 フレーズに気を取られて実習内容がおろそかになる恐れがある、 などの指摘があった。
 今回の試みでは英語が将来に重要であると認識できた。 また英語による仕事の推進に自信を持てた。
 今後の課題は、 学校における専門英語、 E ラーニングなどと組み合わせた総合的海事英語教育が必要である。 年間通じて英語を使ってみることが練習船教育に求められる。 5校で作り上げた内容を継続し更に充実させたい。
   


海事教育機関の課題と現代 GP への期待
 (社)全日本船舶職員協会 
        会長 川村 赳
 全船協は、 80年の歴史を持ち商船教育にも携わってきた。 今回も機会をいただき感謝申し上げる。 全船協としては産・官・学と海事団体などとの連携の窓口として、 一定の役割を果たせたと考える。 これまで発表された現代 GP に積極的に参加協力された各位に敬意を表する。
 文科省がこの現代 GP を選定した理由は、 「5商船高専を網羅したスケールメリットがあり、 公共性、 倫理、 奉仕などの内容に加え、 全国規模の内容としたこと」 の評価にあった。
 プログラム開始後に海洋基本法が成立し、 交政審で安定的国際海上輸送と人材確保の推進が決められ、 海上運送法と船員法の改正が決まった。 海技者の育成推進の諸課題、 日本海運と日本人船員の意義が評価され、 今後の方向性が明らかになっている。
 関連して、 船主協会が主催した商船高専合同ガイダンスが東京と神戸で行われたことに感謝申し上げる。 全船協もコースタル部門乗船研修制度や 「子供達と港を語る」 事業を進めて自らも努力しているところである。
 文科省の動きに触れると、 行革の指針の中で商船高専5校を含む55校の国立高専は独立行政法人 「国立高等専門学校機構」 の下に一つの法人にまとまり、 新たな歩みを始めた。 それ以降教育審議会大学分科会で高専のあるべき方向性が審議された。 専攻科設置、 地域との連携強化などの方針とともに、 高専の統合化の方針が出された。 この8月に教育審議会高専部会で 「高度化再編」 の方針が示され、 それに基づき4地域8高専が統合の具体化に向かっている。 この中には富山商船高専が入っており、 21年10月から富山工業高専と統合することが決定している。 他の4商船高専も同一県内又は近隣の国立高専間での再編が求められている。
 新しいタイプの高専は、 地域社会のニーズに沿った学科構成、 専攻科の拡充、 共同利用型のセンター設置などを柱とした再編プランであり、 地域密着型の技術者養成の性格が強く出ている。 商船教育の立場からは地域囲い込みの中で全国展開することが困難となる事態を危惧する。 長期的視野での再検討の課題であり得る。
 交政審の検討では海洋国家であるわが国の海運は国民生活・経済にとって不可欠であり、 船員確保は重要な課題であると言っている。 そのための問題点、 推進する課題について、 一つは海技者確保育成に対する問題点で、 いったん世代が断絶すると復活には大きな時間と労力がいる。 このままでは日本海運に致命的な影響が生ずる。 安定性・安全性・信頼性の確保に極めて大きな問題があると指摘している。 このような中で高専機構の中だけの学校教育のあり方論については、 国家課題の観点から色々見直しや注文をつけることがあると考えている。 商船高専の海技者教育問題では将来像やいかにアイデンテティを発揮するかが課題である。 商船学科の進むべき道を明確に打ち立てて、 そこに向けて学内が一致して取組む姿勢を明らかにする必要があると思う。 独法評価システムを見ると学科存在の意義が、 この学科の教育施策目的にマッチするか否かにより評価される傾向が極めて強い。 何としても皆さんのご協力のなかで、 商船高専商船学科の学生の未来を開拓していただきたい。
 商船学科が連携した現代 GP の取組みは、 サブタイトルは 「強い職業意識と高い職業能力を備えた海事技術者の育成」 であり、 海運産業と国家の将来の発展のために寄与するものであると思う。 商船高専に入ってくる若者達の受け皿となって、 若者に海技の伝承がされることを期待する。
 現代 GP は3年で終了するが、 多くの素材・資料・情報・授業の方策などについて有効的な評価とともにその枠組みを共有することになった。 教材も残すことが出来た。 この成果は次世代の学生にも継承されるべきである。 この点について商船5校の校長と懇談し、 平成21年度以降の継続事業の取扱いについて基本的に合意した。 その他、 産・官・学の連携についても海事関係団体との交流会などを立ち上げることを検討することとなった。 これについても更なるご協力をいただきたい。
 関係各位の尽力に感謝申し上げて締めくくりのご挨拶とする。 有難うございました。
    


閉 会

広島商船高専 校長 村上定瞭
 本日は文科省、 国交省、 海事団体、 企業の多数の参加をいただきお礼申し上げる。
 今の子供・若者はいろいろ批判されるが、 生物は次世代に次の世代を育成しつないで行くことが自然の姿だが、 グローバル化の中でそれが崩れつつある。 新しいものに取組むには、 子供達が育成過程で色々の体験から新しいものを受け止められる。 今日の子供は閉ざされた環境の中でそのような体験が無いために色々批判される。 これは若者の責任ではない。
 現代 GP は5商船高専と関連団体の連携で、 閉ざされた環境を打ち破り、 新しい取り組みをした。 今後もこの取組みが継続するよう各位の協力をお願いする。
 文科省・国交省をはじめ関係各位の尽力に心よりお礼を申し上げ、 今後ますますのご支援をお願いして挨拶とします。