東京都立小山台高等学校
「社会人によるキャリアガイダンス」

                                                            
                        海上輸送の役割
                               横浜支部事務局長  田中 善治



 昨年春、 以前勤めていた会社の同僚から標記の講師になって欲しいとの話があった。 海運とか船員について幾らかでも PR できるなら、 と引き受けた。 小山台高校は目黒区にあり、 由緒ある長い伝統を誇る高校である。 漠然と、 面白おかしくお話しするだけでは収まらないと直感した。 講演内容について直接担当の先生と2回打ち合わせし、 その前後に E-メール、 Fax、 手紙、 電話で何回も連絡し合った。
 この講座の仕掛け人である 「NPO 法人キャリアのきっかけ (代表 川上崇穂氏)」 のプログラムによると、 基本方針は 「……様々な分野で活躍されている社会人の方々に、 ご自身の学生生活から現在の仕事、 過去の貴重な体験を話していただく高校生対象の講演会を提供します。 そして、 参加者が将来目指す夢や仕事について考えるきっかけを提供し、 その実現を手助けすることを目的としています。 この講演会を通じて以下の三つのメッセージを伝えます。
1、 「目指すきっかけ」 をみつけよう
2、 「自分の譲れない軸」 を持とう
3、 「挑戦せよ!」
……」 ということである。
 この方針を念頭に準備にかかった。

 そして纏まった内容は
1、 海上輸送の役割;資源の乏しい日本
2、 海洋汚染;海から生まれた生命
3、 地球温暖化;二酸化炭素の回収と貯留
4、 外航船と内航船;隻数と乗組員数
5、 パナマとスエズ;運河の仕組み
6、 船員の教育機関と資格;海上労働の特異性、 船員の資質
となった。 これらを説明するためにA4判12枚の資料と CD1枚 (本部 本望事務局長作成) を用意した。

 1月19日土曜日10:30 目黒線、 武蔵小山駅に担当の山本先生が出迎えてくださった。 この講座は自由参加で、 パソコンが配列された LL 教室の会場に集まった生徒はほぼ20名だった。
 11:00開講。 船長の制服、 制帽姿を好奇の目で見ている視線を感じた。 事前に世界地図と地球儀を用意していただいていたので、 配布した資料を説明するのに好都合だった。

 終了後に書いてもらったアンケートではっきりしているように1、 及び2、 の内容を再認識し切実感を抱いたようである。 これらを私の経験を披露しながら進めていると、 皆の真剣なまなざしに絆(ほだ)されてついつい脱線してしまい、 気がついてみると残り15分を切っていた。 そこで質疑応答形式に切替えた。
 バーミューダトライアングルは実在するのか? 海賊は今でもいるのか? 質問はいろいろあったようだが残念ながら時間がなかった。 CD の映像をゆっくり見てもらいたかったし、 パナマとスエズのことも話したかったし、 肝心の船員とは? 船員になってよかったこと、 無念だったこと等、 用意していったことの三分の一も消化できなかった。 しかし、 書いてもらった感想文を読ませていただき、 一番言いたかったこと、 即ちわが国の輸出入の現状とそれを担っている海運の重要性と、 そこで働く船員のことをきちっと受け止めてくれていることに安堵するとともに感謝している。

参加者の感想文
(原文を要約させていただきました、 ご了承下さい。 皆さんどうもありがとうございました。  田中)

2年 (男)
 一言で船員と言っても、 思っていたより色々な役割の人がいて、 船長がそのすべてにおいて責任を持っていることを知った。
 日本は資源がないため、 外国からの輸入に頼っているけど、 それは貨物船で運ばれていて、 船の仕事と言えば 「輸出入」 であるということが分かった。 しかし、 そのほとんどを外国船に頼っているため、 外国で問題がおきたら日本に資源が入らなくなるという厳しい現状にあると言うことを知った。
 地球環境のため、 世界的に貨物船の省エネが進んでいるから、 自分も地球のためにできることを少しでもいいからやっていきたいと思う。

2年 (男)
 船や海などにあまり関心がなかったけれど、 今日話しを聞いて普段目にしないが、 実際大変かつ重要な仕事をしているということを知りました。 だからこそ、 今、 自分らは外国のものを食べたりして不自由なく生活しているのだと思った。 新たに興味が持てた気がする。

2年 (男)
 最初から最後まで 「なるほど」 と思うお話で、 自分が若し海運に携わらないとしても、 現代日本の状況というものを知ることが出来たということは、 大変有意義であったと思う。
海にまつわるエピソードや体験談など楽しい話が多くて、 すごく話しが上手だなーと思ったし、 自分もこんな風に仕事を愛せるようになりたい、 自分の仕事をこんな風にしゃべれるようになりたい。 船長という仕事は責任のある役職で大変だと思う。

2年 (女)
 世界を走っている船は貨物船が一番多い。
造船は韓国が No.1
 社会の授業等で日本は食料を含め、 ほとんどを輸入に頼っているのは知っていましたが、 それを運ぶ船までがそうだとは思っていませんでした。 紛争が起こったとき、 日本は大変な状況になってしまうと不安を感じました。
 海は私たち生物を生み出した母であるにもかかわらず、 その海を汚してきました。
 地球温暖化で国が沈没すると聞いても、 まだ他人事のように感じてしまうけど、 それは全人類にとって一大事であると思いました。
 パイレーツ オブ カリビアン などの影響で、 海賊に対して持っていたイメージが何となく変わりました。
 今日のお話を聞いて、 より一層海に興味を持ちました。 とても楽しかったです。

2年 (女)
 もし醤油大さじ一杯を流して、 それを魚が住めるようにするためには風呂桶 (300litter) 1.5杯分も必要だと知り大変驚きました。
 外航・内航とも船員数が年々減少していることを知り、 とても大切な職業なのに残念に思います。
 PILOT と PIRATE の発音の話、 バーミューダトライアングルの話、 海賊の話などたくさんの話はどれも初めて聞くものばかりで、 あっという間に時間が過ぎてしまいました。
 とても貴重な体験ができました。

2年 (女)
 日本はエネルギー資源を輸入に頼っている。 この資源を運んでくるのが貨物船で、 この道が断たれたら私たちは生活できなくなってしまうことに、 貨物船の重要さがとてもよくわかりました。 そして海上自衛隊とは何か、 少しわかりました。
 日本は加工技術で成り立っている。 でも、 もしこの技術が他国にもあったら日本はどうなってしまうのだろう。
 「母なる海」 の話を聞いて私たちと海がつながっているように感じました。
 日本の外の世界は広くて新鮮なものばかり、 聞いたことのない話ばかりで楽しかった。

2年 (男)
 日本は外国にとても依存していると感じた。 それにしても食糧自給率40%は低いと思う。
船が来なくなるとまずいから戦争は避けた方がいいと思った。
 海をもっと大切にしょうと思う。 海を汚して損するのは自分達だから。

2年 (男)
 海運という観点から世界の環境、 物流また地理的な面白い話を聞いてとてもためになりました。 船が環境に優しいというのは、 自分の中で意外だったので驚きました。
 これからいろいろ勉強して、 世界の様々な現状を自分の目で見て歩きたいと思いました。

2年 (男)
 ナウルは鳥の糞の化石でできていると言う話や、 鉄道が一番エネルギー消費の少ない輸送手段、 の話など面白かった。
 バーミューダトライアングルについて常日頃疑問に思っていたので、 教えて頂きありがとうございました。 とても興味深い話ばかりで、 一時間ずっと集中して聞いていられました。

2年 (男)
 資料についての説明も詳しかったし、 その他気候、 鳥の糞の化石の島が印象的でした。
日本の海運は外国への依存が強く、 これからはより高い関心を持つべき問題だと感じました。 どちらかというと縁の下の力持ちのような立場の仕事だと思いますが、 とても重要であり、 日本を支えていることを学びました。

2年 (男)
 鉄鉱石100%、 羊毛100%、 綿花100%、 原油99.6%と毎日の生活に必要なものはほとんど外国に依存していて、 さらにそれらを全て船で運んでいることに驚きました。

2年 (男)
 日本の現状について詳しく教えてもらい、 船の役割についてよくわかった。 そして船が世界でどれほど大きな影響力をもっているかがわかった。 そんな船の指揮をとる船長の責任がどれほど重いか。 その責任を背負いながら職務を果たしていて、 すごく立派な人だと思う。 様々な興味のある話をしてもらえてとても楽しかった。

2年 (男)
 船から見える地球と世界というものが話しを聞いて想像できました。 今日の講演はこれからの僕の人生選択の上でとても大きなこととなりました。 最も大事な職業について 「生」 の話が聞けて本当に良かったです。

2年 (男)
 船長さんは本当に世界が広い人だと思いました。 雰囲気も話すことも異世界で凄く魅せられました。 自分も人間的に、 社会的に大きい人になりたいと思いました。 「世界の広さ」 に魅せられた楽しい講演でした。

2年 (男)
 日本の技術を人件費が安いからといって中国や韓国に教えてしまうのは良くない。 日本人でなく外国人が継承していくのは日本の衰退につながると思う。 輸送手段として内航海運が一番エネルギー効率に優れている。 だから、 これからの時代とても注目されると思う。
(完)