海の図書室           

1.海の墓標
2.針路を海にとれ
3.航海術の歴史
=新刊紹介=

海の墓標
三輪 祐児 著
 著者は、 あとがきで、 「本書は若い世代に近代日本の歴史の側面を伝えたいと思って書いた」
 「平和な現在の日本経済も依然、 商船によって支えられていることを忘れてはならない。 もし商船による海上輸送が封鎖されたら、 日本経済は破綻し、 私たちはたちどころに飢餓とパニックに襲われるであろう。 商船というのはそれほど重要な割には顧みられることの少ないテーマなのである。 その社会的意識を改める上で本書が微力ながらも役立てれば幸いである。」 と書いている。
 そして、 「はじめに」 で 「痛ましい最期を遂げた日本商船は2500隻を越える、 6万数千人の船員と、 数十万人の人々が洋上に消えて行った」 先の太平洋戦争とは何だったのか、 沈んでいった船々が運んだ歴史のエピソードをふんだんに盛込んで、 真実に迫っていく。
 日本海運は明治政府の取り決め (明7年) の 「蕃地海運御用」 と 「海運担当約定」 により、 「海運会社は軍の作戦に協力し、 作戦終了後は占領地を結ぶ航路の営業権を獲得するというスタイル」 が確立する。 「軍と海運会社の持ちつ持たれつの関係」 を基本に、 「太平洋戦争」 に突入する。 そして戦争は、 日本商船が全滅し、 日本の国力が壊滅するまで続いた。 『海運担当約定』 は、 日本商船の発展と同時に、 日本商船の悲劇を運命付ける契約でもあったのである。」 ことを明らかにしている。
 海洋基本法が俎上に上っているが、 歴史から学ぶことの大切さを、 この本は教えている。
 又、 本書には船舶砲兵であった上田喜八郎氏の多数の戦没船の絵とともに、 戦時中氏が秘密裏に描きとめた多数の船舶のスケッチが掲載されている。(T.H)
出版社名  展望社
      (ISBN:978-4-88546-170-5)
発行年月  2007年02月
サ イ ズ  262P 20cm
価  格  1,890円 (税込)



針路を海にとれ
大山 高明 著
 著者は、 日本海事新聞社社長である。
 本書は国民の海に対する関心を高め、 海洋政策、 海運政策の確立が必要であることを訴えている。
 「出版のご案内」 のチラシで次のように訴えている。
 「海はあらゆる生物の源であり、 人間もまた海を故郷としています。
 日本人は海から食料を与えられ、 また海洋の影響による雨の恵みで農作物を耕し、 海の道による交易で経済を発展させてきました。
 私たちは海の恩恵により現在まで生かされてきたのです。
 筆者 (日本海事新聞社社長) は、 海への想いと、 海にまつわる歴史、 文化、 産業、 環境、 資源、 教育などの問題をやさしく解説して日本の進むべき道を提言します。
 『私達の将来は海に委ねられている。 海洋に理解を求め、 日本人として自信と誇りを取り戻してもらいたい』 と―。」
サイズ  四六判上製 252頁
定 価  1400円+税
発 行  産経新聞出版
〒101-0047 東京都千代田区内神田1-8-1
電話 03-3296-7555 FAX 03-3518-6112



航海術の歴史
J.B.ヒューソン 著  杉崎 昭生 訳

 訳者は、 海洋会会長 (前東京商船大学学長) である。
 訳者は、 本書について序文で 「1983年刊行、 の再版本」 で 「扱っている時の流れは古代から1980年頃までで」 今日の航海術は電子化、 コンピューター化および情報技術化により著しく発展がみられたが、 「ここにいたるまでに、 どのような道をたどったかを示すことが、 この本の役割」 と言い、 「知りたいことを簡潔に示すことに重点をおかず、 そのことが問題となった社会的状況や、 開発に着目しての技術的背景、 航海者を含めた技術者の対応などを通して、 近代航海技術の全体の歩みを透視的に示すことに重点を置いている」 としている。
 興味を引かれたのは、 大航海時代の基礎となる、 経度算出の手法や機器開発をめぐって詐欺師まがいの輩が現れ、 多額の金を巻き上げられる事件が多発したことを紹介。 幾多の変遷を経てクロノメータ開発に繋がっていく歴史である。
 我々は当たり前のごとく利用している航海術、 今日のレーダー・GPSをはじめとする航海機器は、 幾多の苦難と試行錯誤の歴史の中から生まれて来たものであることを知ることができる。 (T.H)
出版社名 海文堂出版株式会社
〒112-0005 東京都文京区水道2-5-4
TEL 03-3815-3292 FAX 03-3815-3953
発行年月 2007年3月
サイズ  346p 22p
価 格  4,725円 (税込)