巻 頭 言

                                      常務理事  相川 康明

海洋基本法の制定について

首記に関し 、昨年12月6日と大晦日の読売新聞を見て海洋国日本が制定した「海の記念日」は一体何の目的で あったのか疑問を抱いた諸兄が殆どではなかったのかと思います。
全船協会長も常日頃から「日本には海運政策が無い」と言われているが、それは永田町と霞ヶ関の縦割り主義の政策に他なりません。海洋政策研究財団のホームページによりますと「21世紀の海洋政策への提言」でその大網が記されています。1970年代に幻の「海洋開発基本法」制定の構想があったとき「沿岸管理法」を盾に旧省庁と永田町が廃案にしたのではないでしょうか。今回の提案は、国の海洋政策について「海洋の管理に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、実施する責務を有する」となっており、関連法整備や財政処置を取るとしています。新設される総合海洋政策会議は、首相を議長として、海洋政策担当相と関連閣僚、有識者がメンバーとなっています。「海洋開発基本法」(案)から「開発」が消えたのは、東シナ海における中国のガス田開発・領土問題など、近隣国との海洋権益をめぐり日本の対応が遅れた為です。1994年の国連海洋法条約発効時点で何故永田町と霞ヶ関は、1970年代初頭の「海洋開発基本法」を再提出しなかったのか悔やまれてなりません。

 上記法案が今通常国会に提出され通過するよう祈るばかりですが、一抹の不安を感じるのは私のみではないでしょう。それは、同紙に「通関業務簡素化へ目標値」と題して港湾や空港などの物の流れを抜本的に改革する「物流ビッグバン」の概要が明らかになったとの報道です。安部内閣の「アジア・ゲートウエイ」構想の一環として、2007年度中に通関手続きを大幅に簡素化し、「港湾のコンテナ取り扱い価格を3割削減する(何をどのようにか不明)」とし、その他の内容も2002年のスーパー中枢港湾構想そのままであります。

 政府は、輸出入に関する行政上の手続きをインターネット上で一元化する「シングルウインドウー・システム」を全面的に導入し、簡素な手続きに改めることで、日本の港湾・空港の国際競争力を高め「アジア・ゲートウエー構想」の実現に向けて検討チームを設置し本年5月までに施策をまとめるとしています。しかし、「シングルウインドー・システム」化の要望については、日本経団連から2004年に自民党政務調査会や関連省庁へ要求が出されています。隣国の韓国における業務改革は199112月に制定された「貿易業務自動化促進に関する法律」が制定され、1999年には税関や出入国管理事務所等と書類の共有化を行い20017月に施行されました。隣国の改善・改革のスピードについていけない日本国の「海洋基本法」の早期成立を日本国民として願いたいものです。