平成18年度                                          
     第1回 商船高専振興協議会運営委員会 報 告
 
審議事項1. 国交省の 「船員教育のあり方に関する検討会」 について (海事ニュース参照) 
        2. 平成19年4月実施の新水先制度について (資料1号)
        3. 「海事技術者のキャリア育成プログラム」 について (資料2号)
        4. 内航向け航機両免状交付問題について (資料3号)
        5. 平成18年度商船高専卒業者の進路状況 (資料4号)
        6. 商船高専統合に関する資料 (資料5号)      
日  時       平成18年10月16日 (月)         12時00分〜16時23分
場  所       全船協神戸支部 会議室
出席者 
        商船高等専門学校
        富山 商船学科教授 朝野  洋   富山 商船学科教授  遠藤  真
        鳥羽 商船学科教授 伊藤 文雄   鳥羽 商船学科教授  石田 邦光
        広島 商船学科教授 瀧口三千弘
        大島 商船学科教授 辻  啓介  
        弓削 商船学科教授 中  哲夫  
        全日本船舶職員協会  
        会  長 川村  赳 (富山)    副 会 長 菱田  司 (鳥羽) 
        専務理事 角田  稔 (弓削)    理  事 相川 康明 (広島) 
        理  事 東   功 (弓削)    理  事 岩江  成 (広島) 
        理  事 松坂 武彦 (富山)    理  事 吉本  公則 (大島) 
        事務局長 本望 隆司 (富山) 
                  
                     
開会挨拶
  会長より、 「この運営委員会の歴史と経緯に触れ、 この時期の開催となったタイミングを
 好機ととらえて討議を進めたい、」 との開会挨拶の後、 昼食を挟んで議事が進められた。 

報告事項
1. 無料船員職業紹介事業許可申請について
   事務局長から、 本年総会決定事項である本事業について、 現在関東運輸局に申請作業中で
  あることが報告された。 
   会長から 「公益法人改革の動きの中で、 公益事業をどれだけ行っているかが問われること
  となるため、 すでに実施しているコースタル部門乗船研修事業に加えて、 この無料船員職業
  紹介事業を実施していきたい」 との補足説明があった。 

これに対する質疑
学校側 卒業生の職業紹介は学校としても実施しているが、 今後は全船協が前面に出て行うとい
  うことか。 
全船協 本協会で行うのは、会員をはじめ非会員の既存船員の紹介を行うことが中心である。従来
  求人の情報を会報に載せるなど職業紹介行為は正式にできなかったが、許可が出れば可能にな 
  る。
2. 商船高専の動向について
   会長より、「富山商船高専と富山工業高専は統合のための協議開始に合意した。これは、9
  月22日の高専機構校長会議で機構が示した各県 1 校の方針に従ったものである。 
   瀬戸内 3 校については、機構が指向する各県1校の方針とは違って、瀬戸内 3 商船高専の
  統合が示唆されていると聞いている。」 との報告がされた。 

これに対する質疑
学校側 「瀬戸内 3 校の統合については検討することを要するとの文書が出ている。」 
    「富山では、 富山地区高専統合再編委員会が設置されてスタートした (両校 5 名ずつの
  委員)。 平成21年 4 月統合のスケジュールである。 両校 8 学科あるが 6 学科に統合する。
  商船学科は残す方向で協議する意向である。 統合協議のモデルは宮城高専と仙台電波である。 
  平成19年12月の役員会で方向性が決まり、 予算もつくこととなるだろう。 きわめて早いペー
  スで進んでいる。」 
全船協 「機構の商船高専の認証評価は5年後に行うはずだが、 今の段階で前倒しで統合の話に乗り出
  している。」 
全船協 「国交省は海員学校に力を入れている。 大学は商船の名前が消えている。 商船教育は特殊技
  術者養成であり、 100年の計を立てて取り組む必要がある。 短期の判断ではためだ。 商船高専に
  ついてはそのような観点から考える必要がある。」 
学校側 「船員教育のあり方検討会は結論が出ていないのに統合の話しが進んでいる。」 

審議事項
1. 国土交通省主催の 「船員教育のあり方に関する検討会」 について (海事ニュース参照) 
全船協 (会長) 検討会は、官から民への流れの中で、市場化テストの先陣として航海訓練所民営化
  を検討せよと迫られたことを受け、 国交省は訓練所だけを取り上げるのは妥当ではないと反論し、
  船員教育機関全体の問題であるとの前提で設置されたものである。 
   船員需給の現況は、 外航と内航では全く状況が違っている。 業界ニーズはコースタル部門では、
  即戦力化要員の育成・確保であるが、 外航企業は今なお脱日本人路線上にある。 従って論議が集
  約し難い。 
  
   行政改革民間開放推進会議の思惑に反して、重大
    海難事故が外国人船員乗り組みの大手オペレーター
  運航船で多発し、危機感が強まっている。 
   論議の経緯は出席者のご協力により了承している。
  この件についてまず意見交換したい。 
学校側 「その件について、 検討会の報告には商船高専
  は 5年で卒業し、その後乗船実習科として練習船に
  乗せるべきだということが言われているようだが、
  その点はどう思うか。」 
全船協 「会議終了直前に海事局担当審議官からそのような発言があったようだ。 何故あの人が突然あ
  のような発言が出るか分らないという意見もある。役所を代表する意見とは受け取れないという評
  価がされているようだ。」 
全船協 「水産高校では、専攻科は 5 年で 3 級が取れる。商船高専は 5 年半で 3 級と言う差があるの
  は問題だとの見方もある。 学生が不利となっていないか。」 
学校側 「ルールとして一般教養の教育年限が高専では縛りがある。 乗船実習の半年が卒業年限として
  定められているため縛られている。」 
全船協 「改善すべきはしていくべきではないか。」 
全船協 「検討会に、 文科省の課長は最初の1回出たのみで、 後は欠席しているようだ。 欠席している
  から国交省の審議官がそのような発言をしたともかんぐられる。」 
学校側 「5 年か 5 年半かで商船高専間の足並みも揃っていない。」 
全船協 「学生のことを考えたら 5 年に改善すべきだとの思いもある。」 
学校側 「今までのいきさつで 5 年半となってきたので、 これを変えることは困難」 

2. 平成19年 4 月実施の新水先制度について (資料 1 号参照) 
全船協 (会長) 「新制度について、 事務担当の海技協会から“商船高専への説明をしたいがどの様な
  タイミングがいいのか”との質問が来ているので返事をする必要があり検討していただきたい。制
  度の内容を角田専務理事から説明して貰う。」 
全船協 (角田) (資料に基づき内容の説明実施) 「このまま行くと商船高専出身者は水先人になるの
  が困難になる可能性が心配される。 学校側としてどう考えるかお聞きしたい。」 
全船協 (会長)「商船高専の対応として、3級に係わる制度の説明会のあり方や時期などを詰める必要が
      ある。 学校から問題提起されれば、 我々も取り上げられる。」 
全船協 「学生に説明する必要がある。受講者には、学費プラス生活費の支援をすることとなるが、いく
      らになるかは決まっていない。採用人数についても今までは年30人くらいだったが明確ではない。 
      水先実績約16万隻のうち、3 級で対応できる2万トン以下が半数あり、3級の仕事はあるということ
      であった。各水先区の募集定員をオーバーした場合、面接、適性、筆記の選考試験により養成人数
      を調整する。 専攻科を出ていれば大学の養成機関に入れる。」 
全船協 「募集人数もそれほど多くなるとは予想できないので、養成機関に名乗りを上げたところも手を
       引いた経緯がある。その点も含めて説明を受ける必要がある。」 
全船協 「ベイとハーバーの統合化も出されている。将来的にどのような人材が必要とされるのかシミュ
       レートして、それに対応できる養成が必要ではないか。商船高専の専攻科がその役割を担うべき
       ではないか。学生にたいして進路の選択肢の一つとして水先人養成も加えるべきではないか。」 
全船協 「学卒ですぐに水先という職業の道が開けることになる。」 
全船協 「パイロッテージは下げるので、従来のようにパイロットが高収入とは限らない、その点につい
       ても説明を受ける必要がある。」 
 学校側 「水先人養成の実施について検討したが、シミュ
      レーターなど設備はあるが、それに専門の教員を
      当てることは出来ないので、不可能ということに
      なった。」       
 全船協 「水先制度の改革推進に取り組んできた立場から、
    水先養成制度が大卒だけでなく商船高専からも入る
    ことが出来る制度にしていくようお願いしたい。」
 学校側 「専攻科だけで授業時間は一杯であり、今の教員
    定員ではまったく余裕がない。どこか1箇所にまとめたら出来るかもしれないが、 現状の助手
    を含めて15名の定員では不可能。」
全船協 「一つにまとめて養成システムを作るべきではないか。」
全船協 「水先人養成から商船高専卒業者が外されることのないよう対応すべきだ。」
全船協 (会長)「わからない点もあるので説明会の開催が必要である。学校・学生に対する水先制度の
説明を受ける時期、 方法等について各校で検討していただきたい。」

3. 「海事技術者のキャリア育成プログラム」について (資料 2 号参照
   文部科学省では教育の成果を高めるため、現代 GP(Good Practice)と言い「よりよい教育事業」
をめざし、2 〜3 年の事業として、予算をつけて実施させるプログラムを募集している。これに商船
高専5校の連携事業として、「海事技術者のキャリア育成プログラム」を応募したところ今年承認され
た。その内容について担当の富山商船高専・遠藤商船学科教授から資料に基づき説明を受けた。
学校側 (遠藤)「事業は18・19・20年度にわたって約6000万円の予算で 5 商船高専で実施。11月中旬
に全体会議を行いスタートする予定。
 @ 職業意識の育成 
A具体的な海事技術者としての職業能力の育成 
B進路指導として海技技術者への道をわかりやすく説明する、
という内容を目的に掲げている。
  これは、今まで個別に各校でやっていたことを5商船でまとめて取り組むということである。具体的
にはWeb TVの利用による実務経験者の講演会を全商船同時実施、海運企業の見学会、英語教育の充実
(乗船研修・海外留学その他)などを行う。さらに論理的表現力など思考力の育成も行う。最終的に
本人に進路を選ばせる。
  海運や船の内容を低学年から教えていくというものである。 従来、商船学について5商船の統一連
 携がまったくなかった。商船学科の内容の連携を図り、長期的視野に立つ商船学の拠点生成のために
 努めていきたい。」
全船協 (会長) 「大島商船も提案して採用されたということだが。」
学校側 「大島商船は e-ラーニングで、インターネットを使った教育プログラムで、同校内の 3 学科が
 共通の対象である。」
全船協 「現在の学生のレベルはかなり低下して基礎的教育が出来ていない者もいる。」
学校側 「船に乗りたいという目的を持った者と、行き先がなくて入学した者とのレベルの差は大きい、
 目的を持って入った者は優秀である。各先生は他県の中学校を回って生徒集めをしている。商船学科
 生は最初は評判がよくないが、実習が終わるとそれなりに成長している、自分を表現することが下手
 であったり、英語が苦手だったりするが、少しサポートしてやれば使える人材になると思う。」
全船協 「各校の切磋琢磨が必要である。生き残るためにはそれぞれに努力する必要があるのではない
 か。」
全船協 「これからは英語が出来ないと仕事にならない、 英語力は重要である。」
全船協 (会長)「高専機構は学生の減少から専攻科の拡大と地域性を重視して統合の方向を出している
 が、商船学科は全国が対象である。商船学科を残すことは重要な問題である。長期的視野で今後の連
 携した取り組みが必要である。」
全船協 「内航海運では、リーダー的立場の人材は海陸を問わず商船高専出身者が主流を占めている。
 内航の人材を如何に作るかを考えるべきだ。」
学校側 「商船高専は外航だけの教育をしているのではない。 船員の教育をしている。」
全船協 「外航では日本人が乗る場合は現在全部混乗である。これで幸せなのかと疑問が出る。内航で
 温存すれば将来必要となったときにも対応できる。しかし現状のままでは小型内航船には若い船員は
 行かないので、内航海運業を改革しなければならない。」
全船協 「このプログラムの実施にあたり、 全船協に何を求めるのか。」
学校側 (遠藤) 「今後継続するものであり、全船協には意見を聞いたり、Web 講演会の講師・英語の
 必要性を現場の人から聞かせてもらったり・先輩の経験を聞くなど、やっていけるものを見出し継続
 していきたい。」

4. 内航向け航機両免状交付問題について  (資料 3 号参照 会報97号記事)
全船協 (会長)「内航への進出が話題となったが、内航に進出するには航機両免状がないときわめて
 不利な立場になる(海員学校は4級の両免状を持って卒業する)。この免状はかつての航機両用とは
 ちがい、両方の現行ライセンス(4 級)さえあれば足りるものである。前回の校長会議でこの問題に
 ついて提起したが、 持ち帰り検討することとなった。 検討結果はどうか。」
学校側 「以前の両用をまたやるのかという反発がある。」
全船協 (会長)「内航で言う両用免状は、ライセンスの問題であり、反対の4級免状を付与することで
 ある。」
学校側 「今の教育内容で少し追加すれば、 改めて科目を増やすことなく申請すれば 4 級はとれると
 思う。」
全船協 「内航では、機関士が航海中機関室で当直しているわけではなく、色んなことをやっているの
 が実態である。それであれば兼務できるじゃないかということである」
全船協 「海員学校卒業者で、機関の希望者は極めて少ないのが実態。」
全船協 「機関関係は分からないことは社内で聞くことで対応できるが、航海士はその場で対応できる
 人材が不可欠である。事故対応如何で大きな損害が出る可能性がある。」
全船協 「内航の安全管理規定は厳しい。海技者を役員として入れる義務が定められた。その意味でも
 海技者の必要性が高まっている。」
全船協 (会長)「航機両用資格の問題については、内航では 4 級レベルの資格であり、どういう教
 育レベルが求められるのか国交省に折衝して、内容を皆さんにお知らせし検討することとしたい。」

5. 各校の近況 (統合問題など) について (資料 4 号 卒業生の進路)
                     (資料5号 統合問題関連資料参照)

学校側 (富山)「富山商船高専は富山工業高専との統合検討を 9 月26日に発表し、10月13日統合委
 員会を立ち上げた。両校 5名ずつ計10名の委員で構成する。商船の名前は消えることになるだろう。
 商船学科の教授の定員も定年が 2 名いるが、そのまま維持されそうである。商船学科教員数は15
 名である。」
学校側 (鳥羽)「鳥羽商船は統合・再編に向けた検討の要請はなされたが、具体的動きはない。時
 代の流れとして統合を含めた検討を行うことは避けられないという認識。 三重県の県立高校は定
 員を減らしている。 私立との競争も激しくなっている。 また、 人件費 5%削減の流れで人員削
 減が進められている。 22年までに教員は 2 名減 (商船学科 2 名の定年者の補充はなし)、 事
 務職員4名減を実施する方向。商船学科の教員が減るのはたまたま 2 名定年が出る結果である。」
全船協 「評価は 5 年後であるが、 まだ、 2 年経過の段階で結論が出るのか。」
学校側 「今回は本校が行った自己評価に対する訪問調査が行われた。 その中で、 施設の有効利用
 の面から、練習船は商船系学科だけのものではなくもっと全校的に利用すべきとのコメントがあっ
 た。 本校が悪いという評価はないと思う。」
全船協 「瀬戸内 3 校はどのような状況か。」
学校側 「すでに 3 校統合の方向で文書が出された。」
学校側 「当校では、 説明はあったが文書は示めされていない。」
学校側 「統合については、いつまでという期限がない。各県1校の機構の方針と違う。どこかに1校
 にまとめるとの考えのようである。しかし、統合したら 3 校分の学生は集められなくなるだろう。
 将来的には悪い方向に進むと思われる。」
学校側 「目的意識のある学生は県を越えて集まるだろうが、そうでないクラスの学生は県内に無い
 学校には行かないだろう。」
全船協 「全体としては減少は避けられないと思うが、 集める努力はすべきだ。」
学校側 「地元の受験生の比率が年々増加し、 他県からは減っている。 1 校にまとめるのはよく考
 えないと心配である。 方向性を決められてしまってからでは身動きが出来ないので 1 つにまとめ
 ることについては慎重に対処したい。 統合することが前提との考えに立つことなく検討したい。」
全船協 「瀬戸内 3校は設備がある。その上に立って方策を考え、こちらから逆に提案したらどうか。
 従来どおりの維持は困難ではないかと危惧される。西日本地域に結びついた商船学校として、色々
 なアイデアを出し商船学校の生き残りを優先に考えるべきだ」
全船協 (会長)「現状は、富山は統合の方向が決まった。鳥羽はまだテーブルに着く時期ではないと
 いう判断。瀬戸内3校は違う方向性が出されている。瀬戸内3校については自由な独自のアイデアで
 ぶつけるくらいの覚悟がいるのではないか。たとえば、“練習船は自分で持っており、自前でやる”
 というぐらいの提案をぶつけるなど、 新しい発想で生き残りの方策を提起していく必要があると思う。
 今後お互いに検討していきたい。」

 以上で、 16時23分会議は終了した。